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「すごーい…A君、また学年1位だよ」
「A君って、すごく頭いいけど、探偵とかしないの?」
中間テストの成績順位が発表され、それを見た蘭くんと園子くんがそんなことを私に言った。
「探偵…?」
「ほら、前にこの子の幼馴染が高校生探偵だって話したでしょ? まー、重度の推理オタクすぎて、ちょっと引くけど……」
で! A君はどうなのかなって!と園子くんはキラキラとした目で私を見る。…そんな目で見られるのは少し気恥しいし、申し訳なくなるが、私は「僕は探偵はしない」と答える。
「そっかー…謎を解くA君、絶対かっこいいと思ったのに」
「園子………それが目的だったのね…」
蘭くんが苦笑する。
なるほど、そういうことか。
だが、園子くんには申し訳ないが、私は探偵じゃない。あくまで推理小説家に過ぎない。
彼らは謎だけを解くのが仕事だが、私は"解かれる謎"も考えるのが仕事だった。自分で考えたトリックを、解決編と称してタネ明かしをするだけ。
名探偵は生み出したが、私自身は探偵とは言えない。
「平井君はどうだ?」
「え、俺?」
「君、いつも推理小説を読んでるだろう? 好きなんじゃないのか?」
「あー、まあ好きっちゃ好きだけど……」
平井君は読んでいた小説をパタンと閉じる。
エドガー・アラン・ポーの小説か。私も今度読もう。
「俺も探偵はしねーかな。小説の中と実際の現場は、やっぱり違うだろうし。興味はあるけど」
「うちの学年ツートップは謙虚ね〜」
「ほんと。新一にも見習ってもらいたいくらい」
「いや、だがその工藤新一君は凄いと思うぞ。実際にいくつもの事件を解決してるんだろう?」
「まあ…。会わせてあげたいんだけど、アイツ、全然帰って来なくて…」
「そうなのか?」
「うん。大きな事件とか何とか…」
「そうか…それは寂しいな」
「え」
「彼の事、好きなのだろう?」
「ち、違うよ!?」
そんな真っ赤な顔で否定されても…説得力がないのだが。
青春だな、と私は微笑ましく思った。
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水無瀬 零(プロフ) - 面白かったです!ベイガー街の亡霊楽しみにしてます! (2022年5月24日 20時) (レス) id: f8abb227c5 (このIDを非表示/違反報告)
(^ω^) - 楽しみにしてます! (2021年12月11日 9時) (レス) @page10 id: bd739fb955 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 面白かったです。更新楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2021年7月30日 9時) (レス) id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ(プロフ) - 平井くんが思いの外イケメンで動揺が隠せません (2021年6月12日 9時) (レス) id: 579ee633f4 (このIDを非表示/違反報告)
プリン(プロフ) - 面白いです!!更新楽しみにしてます! (2021年6月9日 19時) (レス) id: fad1ae5811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨ノ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年5月13日 21時