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「先生、せーんせ!!」
「………ん"ん、なんだい……?」
「お休み中、すみません。もうすぐカンファレンスですよ」
「ああ…もうそんな時間? 仮眠のつもりが、結構寝てたな…」
書類が山積みになっているデスクに突っ伏して寝ていたんだけど、看護師が起こしに来た。
まだ眠気はあるが、仕事なので行くか……と身を起こしたその時、「先生、危ないっ!!」という看護師の声。
その声が聞こえた瞬間、積まれた書類が上から降り掛かってくる。
ドサドサバサッッ
かなり大きな音を立てて、僕は紙や本の山に埋もれた。
「せ、先生……? 大丈夫ですか…?」
「う、うん、だいじょ…ぶ…はは…」
「そうですか…?」
大丈夫だから先に行っててと看護師に言えば、彼女は気にしながらもパタパタと駆けて行った。
優しい子だなあと思いながら、デスクの上を片付ける。
「えーっと、今日のカンファレンスでやる患者さんは…」
カンファレンスの前に患者さんの情報を確認しておく。
すると、妃英理と書かれたカルテが目に留まる。
虫垂炎………あー、なんだか記憶にあるような…?
多分、前世で娘に付き合って見てた時かな。
元気にしてるかな。
「それにしても…死神くんがここに…。あー、絶対何か起きるよなあ」
あまり面倒ごとは起こさないで欲しいんだけどな。
って、機会さえあれば人を殺そうと思ってる僕が言うことでもないか。
そこまで有名になるつもりはなかったのに、いつの間にかスーパードクター…神の手を持つ男なんて言われるし…どこのドラマの話だよって感じだけど。
こうも有名になると色々も動きづらくなってしまうんだよね。
まあ別に、捕まってしまっても構わないんだけど。
僕は死ぬことは怖くない。誰も信じないけど、全くと言っていいほど、死への恐怖を感じたことは無い。
どれだけ人を殺しても、捕まるのが怖いだなんて思わなかった。死刑確定だけど、それで良いと思っていたし。
まあ、家族が居たから、きちんと僕の証拠は残らないように細心の注意を払っていたけど。
それでも、僕が万が一捕まった時は、妻も子供も海外へ行けるように手配はしていたから、捕まっても構わなかった。
残念ながら、捕まる前に死んだけど。
そんなわけで僕は死ぬのは怖くない。だからこの手をいつ血で染めても良いのに、全くその機会に巡り合わない……。
「はーぁ、ほんと、運が無い……」
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咲楽帝 - 最高 (2022年1月21日 19時) (レス) id: f31a757e38 (このIDを非表示/違反報告)
美紅 - 銀ちゃんたァ俺のことよさん» マジで分かります。ところで、名前のクセすごいですね (2021年7月19日 21時) (レス) id: b75236f17d (このIDを非表示/違反報告)
銀ちゃんたァ俺のことよ - ただただ面白いです。本当にガチで貴方のオリジナル小説を書籍で読みたい。 (2021年6月9日 18時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
あかずきん(プロフ) - また…!!また!!貴方様は神作をお作りになったのですか!!最高に面白いですよありがとうございます!! (2021年5月16日 0時) (レス) id: 0fcb647dca (このIDを非表示/違反報告)
黒月白蘭 - 神作者様に出会えてとっても幸せです…!めちゃくちゃ面白いです!この作品はもちろん他の作品も大好きです!続き楽しみにしてます! (2021年5月15日 17時) (レス) id: 6561cece79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨ノ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年5月6日 13時