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何故人を殺すのか。
そう問われれば、答えは、"彼らが僕の大切なものの邪魔をしたから"だろう。
母の陰口を言ったり、親友を虐めたり、父をクビにしたり、兄を追い詰めたり…。
そういった、害悪を始末していた。
解決策を見つけるより、慰めるより、その原因を殺した方が早いと思った。
ただそれだけの事だ。
だからこの世界でも…と思っていたのに、大体そういう輩は僕以外からも恨まれていたりする。
そのせいで、今まで全敗だ。不戦敗。
「全く勘弁して欲しいよ……」
「ああ、また第1発見者になったんですか?」
「安室くん…」
あーあ、とポアロのカウンター席で大きなため息を吐けば、ポアロの看板店員の1人の安室くんがコーヒーを置いて、そう話しかけてきた。
「榊さん、本当に運が悪いというか…大丈夫ですか?」
「ああ、うん、大丈夫だよ。血とか、怪我とか、遺体とかは職業柄見慣れているから…見慣れてても、まあ…良い気分にはならないよね。
何かさ、現場に来た刑事さん達も、もう『またお前かよ…』みたいなあからさまな表情浮かべてくるんだよ? 肩身狭すぎるよ…。
たまーに、事情聴取で警視庁行くことあるけどさ、こうも第1発見者になりすぎると、逆に同情してくれる人もいて、この前なんて、『あ…カツ丼、食べます?』って」
「………お疲れ様です…。あ、これサービスです」
「ありがとう、安室くん…」
イケメンにすごく気を使わせてしまった。反省反省。
「何かもう、第1発見者になりすぎていつか本当に捕まるんじゃないかな」
「まさか、殺人で?」
「いや、第1発見多発罪」
「はは、何ですそれ」
「誤認逮捕はされないと思ってるよ。日本の警察は有能だからね」
「…そうですかね?」
「ああ。それに、何故か探偵も多いし。この街だけで何人探偵が居るんだろうね?」
「まあ…確かに…」
「まあ、でも…」
僕は捕まるなら、安室くんがいいかな。
ぼそりとそう呟けば、その呟きは彼に聞こえていたらしく、「僕は警察じゃないですよ」と苦笑いされた。
「安室くんならなれそうだけど」
「いえ、僕にはそんな…」
「それは残念だな」
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咲楽帝 - 最高 (2022年1月21日 19時) (レス) id: f31a757e38 (このIDを非表示/違反報告)
美紅 - 銀ちゃんたァ俺のことよさん» マジで分かります。ところで、名前のクセすごいですね (2021年7月19日 21時) (レス) id: b75236f17d (このIDを非表示/違反報告)
銀ちゃんたァ俺のことよ - ただただ面白いです。本当にガチで貴方のオリジナル小説を書籍で読みたい。 (2021年6月9日 18時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
あかずきん(プロフ) - また…!!また!!貴方様は神作をお作りになったのですか!!最高に面白いですよありがとうございます!! (2021年5月16日 0時) (レス) id: 0fcb647dca (このIDを非表示/違反報告)
黒月白蘭 - 神作者様に出会えてとっても幸せです…!めちゃくちゃ面白いです!この作品はもちろん他の作品も大好きです!続き楽しみにしてます! (2021年5月15日 17時) (レス) id: 6561cece79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨ノ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年5月6日 13時