プライドよりも食い意地 ページ4
*
*
「良かった。飼えることになったんだね」
「全部俺ら持ちだけどな」
「ま、問題ないだろ。犬1匹くらい」
そんなふうに3人が話している間、私はふわふわふかふかなタオルに包まれたまま、夏油さんに抱かれていた。
ふかふかタオルすごい気持ちいい。
夏油さんと同じ匂いがするから、彼の私物だろう。やだ贅沢。
「見たところ、まだ仔犬だね。犬種…は、パッと見分かんないな。雑種?」
そう言って、硝子さんは煙草に火をつけようとして、それからやめた。
もしかして、私に気を使って? 優しすぎる…!
「そういや、犬って人間にランク付けるよな。1番、2番、3番」
「俺が1番だろ。拾ったし」
「いやいやまだ分かんないでしょ」
「いーや俺だね!」
そういえば、まだそんな感じの順序付けてないな…。
いや、そもそも中身犬じゃないし。
「あ、そうだ」
2人がそんな言い合いをしている間、夏油さんはタオルごと私を床に下ろした。
持っていたビニール袋から、何かを取り出す。
「近くのコンビニで買ってきたんだ。さすがにドッグフードは売ってなかったけど…ささみなら、食べられるだろうから」
そう言って袋を割いて、私の前にささみを置いてくれた。
まじか…!! お腹減って死にそうだったし、ささみだ…!! ドッグフードじゃない!!
「わんっ!!」
「お腹空いてたんだね」
好きなだけ食べていいよ。という夏油様のお許しが出たので、ささみに食いつく。
やべえ、うめぇ。こんな美味いもの初めて食べた…!!
いや、人間だった頃はもっと食べてたけど…!!
しっぽが千切れるんじゃないかというくらいぶんぶん振りながら、あっという間に完食する。
「あはは、本当にお腹空いていたんだね」
「わふっ」
ありがとうございます!!夏油様!!
「…おい、硝子」
「うん」
「たった今、傑がアイツのトップに君臨したんじゃね?」
「…だろうね」
ブンブンしっぽ振りながら、夏油様の周りを駆け回る私を見て、2人がそんな会話をしていたことを、私は知らなかった。
1819人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はななん - パトラッシュって出た瞬間吹きました www 面白かったです w (2023年4月21日 19時) (レス) @page1 id: 8e68b18d9e (このIDを非表示/違反報告)
乙棘を見守りたい - もう更新はしないのですか? (2022年6月11日 22時) (レス) @page9 id: 8abf4c4eb8 (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - 続き楽しみです! (2021年5月17日 17時) (レス) id: db8ef14ae6 (このIDを非表示/違反報告)
んす - ささみもよ!!ささみも! (2021年3月30日 11時) (レス) id: 8c1c429fe7 (このIDを非表示/違反報告)
モブ - ジャーキーよ!ジャーキー! (2021年3月26日 0時) (レス) id: 7e72c0b626 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨ノ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月23日 21時