過去の話 ページ8
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「…五条家の次男、六眼の持ち主なんですって?」
「そうそう…、これはもう、五条家を継ぐのは次男で決まりだな」
「あーぁ、今まで長男に尽くしてきたのに意味はなかったわけね…」
ーー五条悟の誕生によって、五条Aの立場は今までとは打って変わった。
当主の座は彼の物ではなくなり、そんな彼にはなんの価値も無いと、離れる者も少なくは無かった。
「A様…」
「ん? 俺は大丈夫だ。そんな顔をするな、三枝」
「……」
三枝と呼ばれた少女は、唇を震わせ、そして噛み締める。
怒りか悲しみか_身体を震わせる少女を見つめ、Aは困ったように微笑んだ。
三枝の頭に手を乗せ、優しく撫でる。
幼少期から傍に居てくれた幼馴染の1人は、親の意向で弟の世話係となる。
少女はそれを固く拒んだが、覆せぬ決定だった。
「有栖川は…、どうする?」
もう1人の幼馴染は、相変わらず何を考えているか分からない表情で、じっと二人を見つめていた。
彼には選ぶ権利はあった。
「__…俺も五条の坊やのところに行くよ。一目見て気に入ったからな」
「そうか」
「それに、だ」
有栖川はAを見つめ、ニッと笑う。
いつも真顔の彼がこんな顔をするのは、家族と幼馴染に対してだけだ。
「ーー俺ァ、お前とは対等で居たい」
主人と使用人じゃねえ、ただの親友で居たい。
その言葉に、Aは顔を歪めた。
今にも泣きそうな表情を浮かべ、ありがとう、と呟く。
「__おい」
その時、有栖川とAの間に、割って入る子供が1人。
ーー五条悟だった。
有栖川をキッと睨みつける。
「兄さんを泣かせるな」
「…へえ?」
有栖川は愉快そうに口角を上げる。
そしてガシッとその頭を掴んだ。
「ーーよぉ、クソガキ。その兄さんはな、てめぇのせいでこんな端っこに追いやられてんだよ」
「っ…!」
「有栖川…! 悟を離せ!」
普段は温厚なAが珍しく声を荒らげて制止する。
有栖川は、そんなAを見つめ、そして告げた。
「ーー俺は呪術師じゃねえけどな、同じ土俵で負ける悔しさは分かってるつもりだ」
→→→
有栖川→そのボディガード、クズにつき取り扱い注意【呪術廻戦】
新作:おまわりさんと五条青年→←作者より(腐にするか否か…)
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紅葉 - 兄受けで!!! (2021年5月4日 22時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - 私は腐作はニガテなので普通に兄弟もの、或いはコメディ色強めな展開になるのが良かったです。(´・ω・`) (2021年5月3日 23時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬 白羽(プロフ) - 兄受けがいいです!!! (2021年5月2日 10時) (レス) id: 86a711b866 (このIDを非表示/違反報告)
カカシ先生尊い(プロフ) - 兄受けがいいです! (2021年5月1日 22時) (レス) id: 2002df332e (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - 話を読んだ感じで考えたら、兄受けかな( ̄▽ ̄)…… (2021年5月1日 8時) (レス) id: de8b53d880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨ノ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月16日 16時