【鬼滅の刃】おしどり夫婦の作り方【冨岡義勇】

1:お嫁さん ページ3

旦那様とはいわゆる政略結婚ですが、私はそれ以前から旦那様のことを想っておりました。

鬼に襲われそうになったところを救われたのです。


本当に格好良かった。

ですからこの偶然の巡り合わせでお嫁に行くと聞いた時は、「私はこの人と生涯を共にするのだ」と心に決めたのです。


最初の頃は旦那様もあまり心を開いてくれないようでしたが、1年経って、ようやく心向きが変わったように思えます。

お料理を美味しいと言ってくれるようになり、お布団もくっつけて寝てくれるようになりました。
それだけでも大きな進歩なのです。


………確かに、手を繋いだりしてみたいものです。


ですが、多くを望まないのが妻たるもの。


………ああ、でも……。


やっぱり、繋いでみたい。あの大きくて逞しい手を………。
もっと欲を言えば頭を撫でてもらいたい。抱きしめてもらいたい。


いいえ、抱擁なんてされた暁にはきっと私は死んでしまう。


ああ、でも、抱きしめられて、あのお声で名前なんて呼ばれたらっ…………！！


「…………A」


「はいぃっ！！」


突然後ろから名前を呼ばれ、思わずはしたない声が出てしまいました。恥ずかしい………。
少し横を向けば、旦那様のお顔が。ああ、格好良い………。


「俺はそんなに葱は食べられない」


「え………？ あっ！！」


まな板にはこんもりと山のような葱が乗っていました。妄想をしているうちにこんなにも切っていたなんて。


「も、申し訳ございません！ 少し考え事をしていて……！」


「いや……」


恥ずかしい！穴があったら入りたいとはまさにこの事です。

顔が熱くて、旦那様のお顔が見られません。
すると、遠慮がちに何かが頭の上に置かれました。この感触は、まさか………。



「気にしなくていい。お前も失敗することがあると知って安心した」


「は、」



撫でられている…………。


旦那様が、私を、撫でている………！？


「あ、あの、」


「…………すまない。不快だったか」


「い、いえ！！ もっとしてください！！ じゃなくて、えっと、あの、…………ふへ、頭撫でられた………」


「…………その顔は良しと受け取ることにする」


「……？」

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