私の帰る場所5 ページ14
目を開けたのに、あたりは暗い。横からは光が漏れていることに気づいて、私は何かの隙間にいることがわかった。少し頭を揺らすだけで、ぐわんと気持ち悪さが襲ってきて、ぎゅっと目を閉じる。
頭を揺らす隙間があるのは、私の上にある板が他の板と噛み合っているから。下半身は全く動かすことが出来ないけれど、上半身側には余裕があって、そのおかげでなんとか呼吸することが出来ている。
もしこの斜めになっている板が、自分の上に落ちてきたら、どうなるんだろう。
手を伸ばすと届きそうな位置に、死がある。
人生においてもはじめての体験で、私は恐怖から呼吸が浅くなっていた。
いやだ。まだ、こんなところで、死にたくない。
滲む涙と引き攣る息に、私は余計に混乱していく。
ブー、ブー、とバイブレーションの音がした。
上着のポケットに入れてあった私のスマホが震えている。
死にたくないなら、助けを求めないと。
私はスマホを取り出すと、その画面が誰からか見ることが出来ないまま、通話ボタンをなんとか押した。
「A？もしもし、A？」
「……なお…」
尚の声だった。私が1番聞きたい人の声だった。
スマホを口元にまで持っていくほど、スペースはない。スピーカーモードに変えることが出来れば、まだ声は届くかも。
痛む頭を我慢しながら、私は暗がりの中でなんとかその画面を確認する。
「A、なあ、返事しろ、A！」
尚が大きな声で呼んでいる。電話越しじゃない、遠くからもその声は聞こえた。
私は画面をなんとか確認しながら、スピーカーモードのボタンをタップした。
「っ、なお、尚…！」
「A…？A！」
スピーカーモードにしたおかげで、尚自身の声が大きくなって響いた。
頭の上が明るくなったのはその瞬間だった。
「こっちだ！いたぞ！救助急げ！」
「A…！」
駆け寄ってくれたらしい尚の顔は、今の体勢からは見ることは出来ない。
でも、ちゃんと来てくれた。
「A、1人でよく頑張ったな。どこが痛い？」
「頭……と、足は動かせない…挟まってる、と思う」
「うん、わかった。千住さんたちがAのこと今助けようとしてくれてる。喜多見チーフもMERのメンバーも、みんないるから」
「……うん」
「…A？A、しっかりしろ、A！」
尚が一生懸命呼んでくれているけれど、まるで貧血になった時のようにすうっと意識が溶けていく。抗うことは出来なくて、私はそのまま意識を失うしかなかった。
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みずたま(プロフ) - りゅうかさん» コメントありがとうございます。月島さんたちに助けられるお話ってどんな感じになるんだろう…って考えてました。音羽先生が出る幕あるのかな…考えてみます！ (2021年9月23日 9時) (
レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)
みずたま(プロフ) - すずもりさん» レス遅くなりましてすみません！なかなか難しい月島さんとの絡みですが、月島さんも自分の信念を持ってお仕事しているところが書けたらなあと思って書きました。お読みいただきありがとうございました！ (2021年9月23日 9時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)
りゅうか - 初コメ(？)失礼します🙌🙌夢主ちゃんが月島刑事達に助けられる話を読んでみたいです、、！急なリクエストすみません🙇♀️陰ながら応援させていただいてます！ (2021年9月21日 23時) (レス) id: 245bf84ae7 (このIDを非表示/違反報告)
すずもり(プロフ) - みずたまさん!!リクエストに答えてくれてありがとうございました!!月島さんの人間味っていうのかな？←語彙力なくてすみません(笑)国民を大事におもってるシーンがみれてよかったです!!あらためてありがとうございました♪ (2021年9月18日 19時) (レス) id: 850617dc48 (このIDを非表示/違反報告)
みずたま(プロフ) - かかしさん» 初めまして！コメントありがとうございます。私も音羽先生大好きなのできゅんきゅんしてもらえるのとっても嬉しいですー！これからもお読みいただけると嬉しいです！ (2021年9月18日 18時) (レス) id: 38cf2160fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずたま | 作成日時：2021年9月16日 11時
