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「どうしたんだ…？」
カメラマンが呟く。中に入っていた徳丸くんやレスキュー隊が出てきたかと思うと開いていた大使館のゲートが閉められる。オペが終わったMERのメンバーがどんどん集まっていくけれど、まだ開きそうにない。
「確認してきました！大使館内で火災が起きて警戒レベルが上がったと。中には要救助者、喜多見医師、千住隊長が閉じ込められているそうです。無線も応答なし」
「…国際問題になるから、これ以上は強引に進められない。でも要救助者は外国人の男性って言ってた。それって大使館の関係者じゃ…」
報道の仕方も悩む。こんな大きな問題、下手をすればMERが解体になってしまうかもしれない。今ここにいるのは私たちだけで、うちの局の独占ニュースだ。私が言ったことが全てになってしまう。
「部長から連絡来てます。もう1度中継繋げられるかって」
「……繋ごう、やろう」
怖いけど、何もやらないよりは、いくらかはましなはずだ。
命をかけて戦っている人たちがいる。その人たちの姿を、私は伝えたい。
中継が繋がる直前、ゲートが開かれる。助けに行くために大勢の人たちが走り始めた。
その瞬間、キュー出しの合図が入る。
「ご覧ください。たった今、パルナ共和国大使館のゲートが開かれました。MER、そしてレスキュー隊の隊員が要救助者を助けるために中に入っていくところです。現在4名の負傷者がすでに搬送されており、大使館地下にはさらに1人の要救助者が取り残されている模様です。要救助者の詳細はわかっておりませんが、50代の外国人の男性。現在MERの医師とレスキュー隊の隊員が救助にあたっております」
カメラは私ではなく救助しているその姿を映している。ERカーへ運ばれていく患者と、あともう1人外で処置を受けているのはオレンジの隊服だ。
「たった今、要救助者がERカーへと運び込まれていきました。大使館の敷地内では、レスキュー隊の隊服と思われるものを着た方がMERの医師により処置を受けているのが見えます。負傷者がもう1人いるようです。MER、そしてレスキュー隊共に、現在も命をかけての救助を行なっております。以上、現場のAでした」
中継が切れる。あとは全ての命が救われることを祈るだけだ。
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作者名：みずたま | 作成日時：2021年9月13日 10時
