検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:19,986 hit

燃えるフィルム ページ25

.........見えない。

いつもなら真っ暗な中でも扉や光、門なんかが光って見えるのに。



理由は分かる。....私の後ろから伸ばされた手が、私の目を覆っているのだ。しかも手も引かれて。

普通なら逃げ出す所だけど、案の定私はこの人から離れると頼りにできる人が恐らく二人、居なくなってしまう。

だから仕方なく、目を覆われたまま、手を引かれるまま歩いているのである。





体感的に五分程歩いた所で、ぱっと視界が明るくなった。

手が外された。私の手を引いていた手も、私の視界を覆っていた手も、だ。


その時気づいた。


私の手を引いていたのは、しなやかな女の人の手。

私の目を覆っていたのは、ごつごつして、でも暖かい男の人の手。




_______私の知っている人だ!






はっとして振り返ろうとすると、白い布が頬に当たって、後ろから私を包み込んだ。



「駄目だ、振り返るな。....俺とはさよならだ。できるな?A。」

まるで幼児に向けるような言葉。

でもそれはからかいとかじゃなくて、純粋な心配とか、慈愛とかから出る声。

私はこの声の主を、知ってる。


『絋、太。』



「絋太だけじゃない。私だって居るわ。大丈夫よ、後の事は私に任せて。貴女は次の世界へ行きなさい。」



そうやって苦笑しながら言う声も、私は。


『舞、ちゃん....』


「さ、もう時間が無い。早く行くんだ。俺ももうここにはいられない」

「その大きな扉をノックして。」

そう急かされるままに、私は目の前の巨大な扉をノックする。



『じゃあね、二人共。....またね。』

「またいつか....な、A。」

「ええ、またね。.........さようなら。」




「待ってたんだよ、A。ほら、来て。」





優しくて甘い声が扉の向こうから聞こえた。



まだ私は、旅を続けなきゃいけないみたいだ。

黒のブーティー→←恋ぞつもりて淵となりぬる【お正月記念エピソード】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
29人がお気に入り
設定タグ:仮面ライダー , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

春風 - うおおおあっありがとうございます〜〜〜〜!!返信遅れに遅れすみません、今後も見てください....! (2019年3月29日 19時) (レス) id: 42214bfb42 (このIDを非表示/違反報告)
リン - 凄く...好きです...(語彙力なくてすみません) (2019年1月14日 1時) (レス) id: 9a17a210bc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:春風 | 作成日時:2018年11月7日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。