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少しの間、沈黙が流れる。
そして、沈黙を破ったのはあちらの王子だった。
「っあ゛ー、疲れたぁー」
『!?』
さっきまで整っていた口調が変わり、きつく閉められたネクタイを緩めていた。
するとそこから皆様続々と服装を楽な形に切り替えていった。
「ふぅー。」
「疲れたぁ､､､」
「あ、クロエさんも楽にしてていいよ」
『っ、?、?､っ､､!?､､､､???』
私は澄まし顔のまま、頭にはてなを並べた。
護衛の人も同じで、いきなりの変貌さにびっくりしているようだった。
『あ、あの、失礼を承知して述べますが、その、』
「え?あー、ごめんね。僕たちこういうの苦手でさ。」
「ぶっちゃけこうゆーカンジの部屋も嫌いなんだよね」
『ぇ、ぁ、申し訳ございません。気も利かずに。この屋敷で一番ラフな部屋にお通しいたします。』
「お?マジ?」
「サンキュー」
おかしい。
さっきまで、爽やかな感じのイケメンな王子様が、こんなズボラなイケメンに果ててしまった。
いまだ困惑を抑えきれないまま、私は一番ラフな部屋(と言っても私の部屋)に皆様を通した。
「へぇー。イイ感じじゃん」
「オレ結構好きかも」
『お気に召したようで何よりです』
「あ、敬語外してもいいよ。堅苦しいでしょ?」
『ですが』
「いいからいいから!ねっ!」
『､､､､わかった、』
「うん!!」
5人は満足したように笑ってソファーに腰掛けた。
「それで、折り入って話があるんだよね」
『､､､､､。』
「俺たちと駆け引きをしないか?」
『!､､､､駆け引き、ね』
「勿論互いに利害はある。でも、利のほうが多いと思うけどね､､､?」
5人は悪い笑みを浮かべた。
まるで騙し合いの商談の間のようだ。
その駆け引きがどういうものなのかは知らないが、私はこの5人といち早く婚約したいと思っている。
だって、きっとお祖父様が喜んでくれる。
お祖父様が喜んでくれるなら、私はなんだってやってみせる。
『､､､､お話だけ、聞いてみてもよろしくて?』
「ふふっ。勿論。」
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作者名：目覚まし | 作成日時：2023年7月17日 8時
