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「お嬢様。例の妊婦の方が無事出産したと報告を受けました。」
『そうですか。祝福の文を書かなくてはですね。』
「はい。それと、お世話になってる職人様がご結婚したようです。結婚式に招待されておりますが、どういたしますか。」
『出席でお願い。そちらも文とご祝儀は私が用意しておきますので。従者達に朝食の時間と伝えてあげてください。』
「かしこまりました。」
従者は一礼すると、書斎を出ていった。
私は筆を手に取り、インクをつけ書き慣れたように文を書き進める。
職人に妊婦。しつこく求婚してくる貴族に体が不自由の老人。病人に文を交わしている王族。
そして結婚式の祝儀を書き上げる。
最後にシーリングワックスで口を閉ざして従者に預ける。
『来週までに縁談用のドレスを取り寄せてくださる?髪飾りと靴もお願いしたいですわ』
「かしこまりました」
私は数人の従者と護衛を連れて、教会へ向かった。
「見て、クロエ様よ」
「今日も美しいわねぇ」
「あの身のこなし、教祖様によく似てるわ」
「髪質が綺麗よねぇ」
「そりゃああれほど価値のある髪は他にないもの」
「それにしても、早いわねぇ。この間までこんなに小さいと思っていたのにね」
「でも、小さい頃から優秀でいらっしゃったわよね」
「オマエ達も見習いなさい」
「はぁ〜い､､､､。」
複数人の主婦と、走り回っていたバタバタとしていた足音が消え、不満そうなハイトーンな子供の声が聞こえた。
チラリと目線だけあちらに向けると、恨めしそうにこちらを見る数人の子供と目があった。
一瞬、怖がったように体を固めたが、ニコリと微笑み、手を振れば元気よく手を振り返された。
「クロエ様､､､?」
『元気な子達ですわね。将来を任すのに十分だと思いませんこと?』
「はい。きっとよい街を築くいていくと思います」
護衛に話しかければ、ニコニコと肯定された。
教会では、もうたくさんの人が綺祈りを捧げていた。
私が来たと同時に皆立ち上がり、神に頭を垂れるように頭を下げた。
見慣れた光景を目尻に、首にかかった十字架のネックレスを両手で包み、御像に頭を垂れ、
祈りを捧げた。
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作者名：目覚まし | 作成日時：2023年7月17日 8時
