perfect prince (ページ5)

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「お嬢様。おはようございます。」

『ええ。おはよう。』

エントランスに行くと、お祖父様がもう身支度を整えていた。
きっと、もう出発するのだろう。
次はどんな国に行くのか。羨ましい。

『もう行くのですか。』

「ああ。呼び出しをくらってしまってな。」

『呼び出しですか。』

「ああ。」

例の国からな。

お祖父様はそれだけ言って目を伏せた。
例の国とは、うちの熱烈な信者のあの国だろう。

なにか不幸があると、すぐにお祖父様を呼び出しお告げを求める国だ。

従者が耳打ちして教えてくれた。
真夜中に火災があったそう。
そんなの、ただの家主の不注意だろうに、王族やら貴族やら国民は、災いが降りかかる前に身を清め、神の怒りを収めなくては。と騒いでいるそう。

『いってらっしゃいませ。お祖父様。』

「ああ。行ってくるよ。」

お祖父様は私の頭をそっと撫で、馬車に乗り込んだ。