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運ばれてくるお料理は、どれも美味しくて
ついついお酒も進む。
普段から、亮くんは強いんだなって感じるけど
わたしは一定の量を超えると、すぐ瞼が重くなってうとうとしてくるタイプ。
美味しいものを
大好きな彼と、その彼の大切な存在である千葉さんと
同じ空間で食べられるなんて、こんな贅沢。
バチが当たっても文句言えないな。
「Aはそろそろこっち。」
体がぽかぽかしてきたなってときに
亮くんが気付いて、お水を手渡してくれる。優しい。
「Aちゃん、平気？」
「ん。弱くはないけど、強くもないからさ。」
二人が話している声が、少し遠くに感じて
自分が思ってるより、酔いが回っていると感じる。
お家だったら、亮くんに甘えて
我慢せずに飲んじゃうけど、
千葉さんの前で、恥ずかしいことがあったらきっともう生きていけない。
素直にお水を飲む。はあ、今日もしあわせ。
「俺ちょっとトイレ行ってくるから、ばーちさんAのこと、」
「うん。いってらっしゃい」
頭をそっと撫でられて、亮くんが出ていってからは
千葉さんとふたり。
緊張しないわけがない。
「…あの、」
「Aちゃん、幸せ？」
思いもしなかった質問に、一瞬固まる。
「、はい。もちろんです。」
肯定の言葉に、嬉しそうに
でもどこか、ほっとしたように笑う彼に、気付く。
「あの人さ、不器用だけど。近くで見てても伝わるくらい、Aちゃんに対して一生懸命だったからさ。」
大切な存在だからこそ、
「今日ふたりの幸せそうな姿見られて、よかったよ。」
心配だったんだなって。
「吉沢さんのこと、よろしくね。」
大切に思われている彼が、愛おしくなる。
「…はい。」
大切にしよう。
亮くんからもらえる幸せを、
わたしも、返していけるように。
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作者名：憂 | 作成日時：2018年12月9日 23時
