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3話 ページ4

そういえばよく見ると元々細いけど少し痩せた気がする…
僕はAの身体を観察していく内に徐々に険しい表情になっていく
目の下にも薄らクマが出来ているし顔色も悪い…




『…ニュート…』


名前を呼ばれてふと我に返るとAの顔を無意識にぺたぺたと触っていた


「あぁ!ごめん…!」


そう言って直ぐにぱっと手を離した
Aは僕の行動に少し困ったような表情で見つめてきたが、視線を下に戻し、抱えていた二フラーを再度膝の上に乗せるとまたゆっくりと撫で始めた


お互い無言でAは二フラーを撫で、僕はその様子を眺めながら思考を巡らせていた

僕はさっき見つめられた瞳が微かに揺れていたような気がしてならなかった

何故眠れない?嫌なことでもあったのだろうか…何か悩みが?というか眠れないのはいつから?
1人でぐるぐる考えていると


『…なんてことないの…本当に…』


と静かに言葉をこぼすとゆっくり視線を合わせてきた
僕の目に映る瞳はやっぱり揺れていた



N「…本当に…?」


「本当に」


思いの外はっきりとした口調で、それでいて柔らかな表情をしているのでこれも本心なんだろうけど…


N「…そっか…」


そう呟いた僕の声を聞いてまた視線を下に戻すと、いつの間にか膝の上で丸まっている二フラーを撫でた

何かあるならなんでも言ってほしいと思った

Aは僕やテセウスとは違ってとても繊細で、とても敏感で、色んなことを考えすぎて、我慢する人だった
同じ環境にいたとしても他人の何十倍もの情報を感じ取ってしまうのだ
本当はもっと色んなことを考えているはずだ
考えなくていいことも誰も考えないようなことも

僕なら頭が膨張して爆発しそうだ


生きずらいだろうな…


N「言いたいことがあればなんでも言って
どんなことでも聞く
馬鹿になんて絶対にしないから」


せめて家族といるときは…
僕といる時は安らげる場所であってほしい
そう思ってAの頭に触れる


『…ありがとう。その言葉だけで十分だよ』


へにゃっと笑って『ニュートは優しいね』とまた二フラーを撫でた

そんなことない
僕はAの為ならなんできるししてあげたいと思っているだけだ

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作者名:柊シュウ(柊) | 作成日時:2023年8月21日 15時

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