美少年が恋した美少年 (ページ6)

今日:15 hit、昨日:0 hit、合計:2,686 hit

公園ページ6

…ﾍﾟﾗｯ…………ﾍﾟﾗｯ…

美「…そんなもの読んでいて楽しいか？」
『…まあ、何もしないよりは…』
美「…何を読んでるんだ？」
『「フィネガンズ・ウェイク」です』
美「…おもしろいのか、それ…」
『おもしろいですよ。少し難しいですけど』

丁度木陰になるベンチに腰掛け、
小鳥のさえずりと子供達の声を聞きながら、
パラパラとページを捲る。

『…そういうあなたも、
それ楽しいんですか？』
美「何もしないよりはな。フフフッ」

彼と言えば、暇なのか私の髪を
編んでは解きを繰り返している…
猫も髪にじゃれている…
私の髪は猫じゃらしかっての…

『…(ﾊﾟﾀﾝｯ)ふう…』
美「読み終えたのか？」
『はい、とりあえずこれは終わりました。』
美「そうか…」
『そういえば、私があなたの呪い(？)に
かからなかった理由が知りたいと
言ってましたけど…多分それは、
私が彼女をあまり好いて
いなかったからだと思います。
いや、好いてはいましたが、
恋だの愛だのとは違うというか…』
美「ほう、まあくだらない
理由だということは分かった。
フフッ、だが好きでもない女と
付き合う理由はどこにあったんだ？
そんな面倒な関係、作らなければ
よかっただろう？」

クスクスと笑いながら、結び終えたのか
私の髪から手を離した。少し雑だが、
まあまあ綺麗な三つ編みにされたらしい。
…首元が涼しいな…

美「ハッ、中々良いじゃないか。
細い首だな…簡単に折れそうだ。
俺の呪いについてだが、噂は聞くだろう？
辻占で俺が答えた奴らはほとんどが
自ら喉を切ってシぬ。くだらない程
見ていて愉快だぞ？」
『フフッ、最低…』
美「だろうな」

そんな最低な会話をしていると、
すぐ目の前から子供の泣き声が聞こえた

『ああ、転びましたかね。ちょっと
行ってきます』
美「は？」

ベンチから立ち、子供達の方へ向った

『君達、どうしました？』
子1「この子が転んじゃったの」
子2「うう、痛いよお…」
『大丈夫ですか？ちょっと手当しましょうね』

背負っていたリュックから、水の入った
未開封のペットボトルと消毒、ティッシュと
絆創膏を出して手当を始めた。

『…はい、もう大丈夫ですよ』
子2「うん！お兄ちゃんありがとう！」
子3「ねえ！お兄さんも遊ぼ！」
『ええ、少しだけなら良いですよ』

子供達の手をとり、
他の子達の元へ向った…