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旅人達はあの後たたら砂の戦場から離れ、人気のない船着き場までやってきた。
隠れておけと言われているので、いくら周りに人がいなくとも出ていくのはやめておく。
今から海祇島に行くらしい。そうなると船で海を渡ることになるのだが…ふむ、まぁ泳ぎでもいけなくはないな。
「おーい雷幻ー!早く出てこいよー!船を出発させられないぞー!」
パイモンが当てずっぽうで私がいそうな方向に向かって叫ぶ。だが私がいるのは反対方向だ。
それにしても、私はてっきり海祇島への道中も隠密を極めて行くものだと思っていたのだが、そうではなかったらしい。まぁ、泳ぐと服が濡れるから有難くはある。
乗っていた木の上から旅人達の近くに降りると、うわっ、と後ずさられた。何故。
「おまえ、そんなところにいたのか?別にもう人はいないんだから、たたら砂を離れたところで出てきてもよかったんだぞ」
『指示がなかったから続行した』
「指示って…ちょっとは自分で考えて動けよ!」
『それは許可されていない』
「さっきは助けてくれただろー!!」
「パイモン、出発するよ」
痛くも痒くもない攻撃を甘んじて受け入れていると、自分の船を用意した旅人から声がかかった。哲平は先に乗り込んだらしい。
旅人から聞いた話によると、この船には前方を爆撃する機能も備わっているそうだ。とんだ軍艦だな。
海祇島の近くまでやってきた。
一度私だけ船から降り、近くの陸地から旅人達を追う。彼女らと一緒に海祇島の中心部まで行ってしまうといけないからな。
ここら辺はフライムが多い。雷のやつは面倒だが、海祇島は大体が水か風だ。そこまで対処に時間はかからないだろう。
ここで雷を落とすのは勘のいい住人にバレる可能性がある。宙に浮いている敵相手には少し分が悪いが、素直に刀で戦うことにした。まぁ、普段の任務に比べればこんなものは簡単だ。
…海祇島軍隊の訓練営についた。哲平はまずここを紹介してから珊瑚宮心海のところまで案内するつもりらしい。
私の立場上、海祇島に来ることは滅多にない。目狩り令が出る前、稀に調査をしに来ていたぐらいだ。
それも秘密裏なものだから、海祇島の人間に私の見覚えはないだろう。いや、稲妻城まできたことがある者なら知っているかもしれないが…
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△(プロフ) - リクエストに応えたいただき本当にありがとうございます!影ちゃんと主人公の関係性がとても尊く、思わずにやつきながら読んでしまいました🙏これからも楽しみに更新をお待ちしています🙇♀🙇♀ (2022年9月3日 23時) (レス) id: 903d9d5d23 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんぼんばくだん - 神子にお姉様付けるのほんとに好きすぎる…!!!最高ゥゥ↑↑!!リクエストなんですが、胡桃と絡ませて欲しいです!!胡桃に振り回される雷幻ちゃんが見たいです!!お願いします!!最高です!!! (2022年8月29日 19時) (レス) @page31 id: 6ea26225bb (このIDを非表示/違反報告)
△(プロフ) - 二度目のコメント失礼します🙏今回のお話も楽しく読ませていただきました!リクエストの件なのですが、雷電影ちゃんとの絡みをもう少し読んでみたいです😌個人的に「神子お姉様」呼びは私にも刺さりました... (2022年8月27日 23時) (レス) id: 903d9d5d23 (このIDを非表示/違反報告)
名無し3680号(プロフ) - 最初から読ませて頂きました!とても面白かったです。リクエストでティナリ君と絡ませて貰う事は出来ますか?こんな面白い小説久しぶりに見ました! (2022年8月27日 23時) (レス) @page31 id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - いつも拝見させていただいてます!物語もイラストも凄く素敵で、いつの間にか最近の楽しみになっていました!これからも応援しております! (2022年8月24日 3時) (レス) @page19 id: 23f7552425 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よつばし | 作成日時:2022年8月14日 23時