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哲平が負傷兵舎への食糧の供給について珊瑚宮心海に訪ねる。珊瑚宮心海はにっこり笑って十分な量を手配してあると答えた。
これからは、負傷兵舎でも焼き肉が食べられるらしい。負傷兵がそんな脂っこいものを食べてもいいのか?とは思うが、人間は食に強いこだわりを持つと言うし、そう言うものなのだろうか。
戦争に勝った後は、酒も飲むことができるという。
それを聞いたパイモンが不安そうな表情で口を出す。
「じゃあ、目狩り令はいつ終わるんだ?」
「その質問は…私にも答えられません」
珊瑚宮心海の目から見て、目狩り令の発令は元々奇妙なものだったと言う。
私は特に何か意識して日々を過ごしている訳ではないので覚えていないが、将軍や天領奉行も様子がおかしかったそうだ。
私の位置を把握していたらしい旅人からチラリと目線を受けた。私に答えられる事はないので首を振っておく。
…あれから旅人は海祇島特別行動隊である「メカジキ二番隊」の隊長に任命された。
海祇島で暴れていた浪人を倒してメカジキ二番隊の兵士の信頼も勝ち取り、その後、浪人が大量にいるところにも単身で突撃し、傷ひとつなく珊瑚宮に戻っていった。
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哲平が倒れた。
予兆はあった。会うたびに手柄を立て、その割に声が老けていき、髪に白髪がチラつく。時が経てば経つほど以前より精気を感じない様子で、いつも咳き込んでいた。
その原因は「邪眼」という神の目の模造品。使えば使うほど力の代償として寿命を失うそうだ。
少し寝ればよくなる。そう言って哲平は目を閉じた。
哲平は眠る前にささやかな願いを口にした。今作ってもらっている隊服が完成したら、一緒に着よう。ただそれだけ。
パイモンが私の名前を叫ぶ。哲平は意図的に人気の少ない場所に逃げていたから、周りにバレる可能性は低いが、何度も呼ばれていては危険だ。
すぐにパイモンの近くへ降りると、焦った表情で縋ってきた。
「雷幻!哲平をなんとかしてやってくれ!おまえは雷電将軍の弟なんだから、神と同じだろ!?だから…だから哲平を…!」
『……』
「パイモン、困らせちゃいけない。私は……私は奴らを…ファデュイを倒しに行ってくる」
旅人は走ってどこかへ行ってしまった。
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△(プロフ) - リクエストに応えたいただき本当にありがとうございます!影ちゃんと主人公の関係性がとても尊く、思わずにやつきながら読んでしまいました🙏これからも楽しみに更新をお待ちしています🙇♀🙇♀ (2022年9月3日 23時) (レス) id: 903d9d5d23 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんぼんばくだん - 神子にお姉様付けるのほんとに好きすぎる…!!!最高ゥゥ↑↑!!リクエストなんですが、胡桃と絡ませて欲しいです!!胡桃に振り回される雷幻ちゃんが見たいです!!お願いします!!最高です!!! (2022年8月29日 19時) (レス) @page31 id: 6ea26225bb (このIDを非表示/違反報告)
△(プロフ) - 二度目のコメント失礼します🙏今回のお話も楽しく読ませていただきました!リクエストの件なのですが、雷電影ちゃんとの絡みをもう少し読んでみたいです😌個人的に「神子お姉様」呼びは私にも刺さりました... (2022年8月27日 23時) (レス) id: 903d9d5d23 (このIDを非表示/違反報告)
名無し3680号(プロフ) - 最初から読ませて頂きました!とても面白かったです。リクエストでティナリ君と絡ませて貰う事は出来ますか?こんな面白い小説久しぶりに見ました! (2022年8月27日 23時) (レス) @page31 id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - いつも拝見させていただいてます!物語もイラストも凄く素敵で、いつの間にか最近の楽しみになっていました!これからも応援しております! (2022年8月24日 3時) (レス) @page19 id: 23f7552425 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よつばし | 作成日時:2022年8月14日 23時