夜叉さんとこの蝶々II【原神】 (ページ8)

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魈「悩み…と、言うほどでもないが、気になってることがある」

パイモン「気になってること？なんだ？」

魈「蝴蝶の事だ」

彼奴は今の生活を楽しんでいるのだろうか。

魈の口から発せられた、そんな些細な疑問に、空達は面食らった。

パイモン「そりゃあ…楽しいに決まってるだろ？今日だって空の旅の話を聞いて爆笑してたし」

空「うん」

空は、パイモンの意見に頷きながら、自分が蟹だと思って捕まえたものがただの石ころだったという冒険話を笑われた事を思い出した。

空自身も滑稽なことだとは自覚しているが、あんなに笑わなくてもよかったじゃないか…と不満を覚える。

魈「そうか…やっと普通の凡人になったのか」

空「普通ではないと思うけど…」

魈「我に言わせれば、あの程度は普通だ」

パイモン「そりゃオマエは仙人だからなっ！」

そんなことより！とパイモンが話題の転換を試みる。

一方空は、手持ちの石珀が足りていないことを思い出した。後でとって帰ろうと考える。パイモンの声は聞こえていない。

そして、「普通の凡人」が「頭痛が痛い」と同類の言葉だと誰も気づかない。

パイモン「やっと、ってどういうことなんだ？昔は普通じゃなかったのか？」

空「あ、それは俺も気になる」

石珀のことを考えていた空も、友人の昔話には興味があるようだ。これから魈が話すであろう蝴蝶の昔話に耳を澄ませる。

魈は少し考えた後、いいだろう、と口を開いた。

魈「まず、蝴蝶には誘拐された経験がある」

パイモン「へぇー、誘拐された経験…誘拐！？」

空「まぁ、あの顔なら有り得なくはない…かな？」

魈「そうだ。蝴蝶は顔目的で誘拐された」

魈は13年程前の蝴蝶を思い出し、苦虫を噛み潰したような表情になった。

その表情を見た空達は、まだ自分達が知らない蝴蝶の過去に思いを馳せ、一つ冷や汗を垂らした。

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