夜叉さんとこの蝶々II【原神】 (ページ40)

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まさか「シェフをここに！」を俺がやられるとは思わなかった。

一旦料理を中断して、臨時料理人(おれ)の代わりの臨時料理人に仕事を投げておいた。

まぁ今回のお客様は未来の常連さん(かねづる)だからな。しょうがないしょうがない。

「この店にはどんな酒があるんだね？」

『最近アカツキワイナリーから仕入れたんですよ〜。なので葡萄酒がオススメですね』

「おぉ！それはいい！葡萄酒を…そうだな、3瓶ほど頼むぞ！」

『え〜、もう一瓶どうですか？おつまみオマケしますよ』

「はっはっは、ならもう一瓶頼むぞ！」

『ありがとうございまーす！』

軽い足取りで、でも作法はこなしながら部屋を後にする。

ふぅ、こんなキャバ嬢みたいなことをまたやるとは思わなかった…いや、いいんだけどね。慣れたし。

ふふふ、この調子で巻き上げていこうか。

今のところ売り上げが…10万モラぐらいだったか？うん、倍は欲しいな。

葡萄酒4瓶を抱えるのはちょっと無理があるので、その辺にいた男の従業員に2瓶持ってもらった。

いや、重量の問題じゃなくてだな、腕が足らないんだ。知ってるか？人間は2本しか腕が生えてないんだ。

道中割と暇なので、手伝ってもらってる従業員と他愛もない話をする。

そいつは俺より年上だけど、何故か敬語で俺に話しかけてくる。別に俺お前の上司じゃないけど？

不思議に思って聞いてみると、そいつは自分より優秀だと思った人には敬語を使ってるらしい。おいおい、褒めても何も出ねぇぞ。その辺の雑草ぐらいしか。

「いつかケーキを食べてみたいんです。聞いた話だと、スポンジ生地に生クリームが塗られていて、主に果物で飾り付けられているそうです。モンドに行けば売ってるんですかね？」

『ケーキかぁ、俺は食い飽きたからなぁ』

「食べたことがあるんですか？」

抱えた葡萄酒の影で頷く。ケーキは10年ぐらい前に十分食った。

前に話した魈さまとの出会い♡の後、俺が幼女趣味の富豪に誘拐されて着せ替え人形にされてた時。

「可愛い女の子は可愛いものを食べるべきだ！」って毎日食わされた。あ、大丈夫。夜はまともな食事だったから！

それから程なくして、無事にお客様の部屋に葡萄酒4瓶を届けて、厨房に戻った。

さぁ、明日空から聞くであろう魈さまのダサ仮面討伐譚を心待ちにしながら料理を続けるか。

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