鷹の目の心Ⅲ (ページ10)

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飼われる人間ページ10

その後、何をされたのかもはやミアは覚えてはいなかった。

ただ、これが現実なのか夢なのか、はたまたミホークの作戦なのか...

何度繰り返し考えても、「今」という瞬間と状況が現実を突きつける。

暗い牢の中で、じっと佇んだまま俯いていた。

『ミホーク...』

ポツリと呟く彼の名を、忘れることはできそうにない。

藤虎
「まだあの男のことを気にしておられるようで..」

牢の前で胡座をかいていた藤虎は、ミアに声をかけた。

藤虎
「何があったかは知りやせんが...」

声をかけても、ミアの目に光は戻らない。

藤虎
「...シセルバの。お嬢さんは海賊として身を拘束されてる訳ではございやせん。
明日から拷問と、人体実験があんたさんを待ってる...。」

その言葉にも一切反応はない。

藤虎
「鷹の目の...」

『黙って』

低い声で、ミアは藤虎に静止をかける。

ジャラジャラと鳴り響く鎖の音は、藤虎に近づいてくる。

『私は...例えここで殺されようと、あの人を信じてるから...もう、何も言わないで...』

祈るようなその震えた声は、藤虎の胸に響いた。

そもそも、こんな事になったのは天竜人の言葉を鵜呑みにした海軍の落ち度だ。

府に落ちない藤虎は、それを気にしてずっとミアについていた。

藤虎
「あっしは、あんたさんの力になれればとは思っておりやすんで...何かあればあっしを...」

『どっか行ってよ！！』

精神状態がボロボロなミアは、そう叫び散らした。

やむを得なく、藤虎はその場を後にした。

静かさを取り戻した牢の中で、ミアはずっと泣いていた。

いつも胸にあったはずのネックレスも、温もりもない。

この冷めた牢の中で、1人の男をただひたすらに想い続けた。