鷹の目の心Ⅲ (ページ31)

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一方海軍本部。
静かな和室に、ミアは横になっていた。

『まだ体がだるい...』

重く、思い通りに動かない体に不自由を感じる。

藤虎
「麦わらの...居場所をつかんだそうで。ミアが動けるようになりやしたら...」

『わかった』

藤虎
「実験で徐々にシセルバの力は覚醒しつつあると聞きやしたが、身体への負担や影響は甚大でしょうに」

ベガパンクの実験に協力し、身体を隅々まで調べ上げられる。
そのため、ローに見抜かれた細胞の働きの異常や残りの寿命に関しては、とっくに改善されていた。

しかし、眠るシセルバの力を引き出すために毎日のように施術が施されていた。

『そのおかけで、今までないくらい力がついてる気がするけどね』

藤虎
「あまり...無理はしないほうがええでしょう」

『やめてと言って聞く相手ならそうするけど』

藤虎は、日に日にやつれていくようなミアをみて胸を痛めていた。

しかし、徐々に力を発揮していくミアを海賊に戻すようなことがあれば、それこそ世界に影響を与えかねない。

安易な言葉はかけられなかった。

『私...居場所ってあるのかな』

寂しそうにそう呟いた。

藤虎
「居場所...ですかい？』

『元海賊で、賞金首だったような奴が海軍でこんな立場に立たされて、良い思いしてる海兵も多くはないでしょ？
それに...今更海賊に戻っても、もしかしたらルフィたちは許してくれないかもしれない』

藤虎は、珍しく弱音を吐くミアの言葉に耳を傾ける。

『ルフィたちもさ、ペローナと変わらない、大事な恩人なんだよ。
でも、ペローナを解放するためには...彼らを蔑み、傷つけ、捕らえることだけ考えないと...！』

振り絞るような声が聞こえたかと思うと、藤虎の手にミアの手が触れた。

『怖い....！私は、このまま何も分からなくなって、みんな傷つけてしまうんじゃないかと思うと...！
生きてる理由が分からない...！』

藤虎
「....あっしのこの目には、あんたさんの顔は見えやしませんが....」

藤虎は、重ねられた手を取り、握り返す。

藤虎
「ミア、居場所はあっしがつくりやしょう。」

拗ねた子供をあやすように、藤虎はポンポンと頭を撫でてやった。