鷹の目の心Ⅲ (ページ24)

今日:42 hit、昨日:4 hit、合計:84,631 hit

・ページ24

『でも私、今日何もできてないから...』

藤虎
「従えないんで？」

『...いや』

少し強引な藤虎の命令に、ミアは軽く頭を下げ部屋を出た。

(今日も行くか...)

階級的には中将クラスを与えられてはいるものの、あくまで藤虎直属に動く部下として所属させられていた。

そして、何よりそうせざるを得ない理由があった。

先日まで自らが捕らえられていた牢に向かう。

薄暗い空間に、1人牢に入れられている人物がいた。

『息苦しいとかない？』

ミアは優しく声をかけた。

？？
「おめえ、何でこんなことするんだ....私のことなんて放っておけ！」

『....ペローナ』

ミアはかつて命を助けられたペローナの命を海軍に握られていた。

ペローナ
「鷹の目のこと何も覚えてないなんて...私の苦労はなんだったってんだ！」

ペローナはぷんすか怒りながら鎖をじゃらじゃらと鳴らした。

『ごめん...すぐに出してあげたいんだけどさ...』

ペローナは膨らませた頬を元に戻すと、真剣な顔をしてミアに問いかける。

ペローナ
「ミアに課せられたのは、お前に関する実験の終了まで従順に海軍に所属することと、麦わらの一味の殲滅もしくは捕縛だろ？
海軍の連中は手荒な上に本当に最低なヤローだな」

『麦わらの一味の殲滅は...わたしには苦しいかな』

ペローナ
「...お前から抜かれたのは、鷹の目に関する記憶だけだったか...？」

『多分ね。ペローナと一緒にいた住処...あそこの記憶もここに至る経緯も、妙な隙間があって詳細が分からない。思い出そうとすると頭が痛いし、胸も苦しい』

ミアはギュッと胸を押さえた。

心のどこかで、思い出すこと自体を拒否しているようにも思えた。

ペローナ
「鷹の目は、必ずお前にまた会いに来るだろうな」

『なんで？』

ペローナ
「多分、そういうやつだ。」

『私は記憶が無いにしても、ペローナを守る為なら誰とだって戦うよ』

ペローナ
「....何か他にねえのかよ！お前、散々な目にあった挙句鷹の目まで取り上げられて...！」

ペローナは少し感情的になって、暗い目をしたミアに問いかける。

『私は、この身体の実験が終わったらペローナを助けて、外に出るよ...！
その為に今従ってる。絶対このままじゃ終わらせないよ...』

ペローナはため息をついた。

ペローナ
「無理すんじゃねーぞ？ミア...」