鷹の目の心Ⅲ (ページ13)

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刻む想いページ13

海兵
「おい！早く出ろ！」

ミアは海兵の言われるがまま、牢を出された。
繋がれた鎖は弱まることなく、グッと身に食い込む。

時々変わる床の色をぼーっと眺めながら、ミアは連れていかれるがままだった。

？？
「お前がシセルバの生き残りか」

低い不機嫌そうな声が聞こえてきた。
その声の主を確認しようと、顔を上げた。
そこには、元帥・サカズキがいた。

『元帥様が、私に直接何の用？』

サカズキ
「上からいろいろ聞かされとる。お前、まだ海賊に裏切られたことを根にもっちょるらしいのぉ」

ズキ、と心が痛む。
まだ言えない心の傷と、否定したい気持ちが入れ混じって、嫌な汗をかく。

『ミホークは私を捨てたりなんか…してないよ。
私は、何があっても彼を信じてる…！」

サカズキ
「哀れな女よのぉ。奴とて所詮は海賊。女の一人や二人捨てたところでおかしいことはない。
いい加減に諦めたらどうじゃ」

『そんなこと…私は何があっても彼の力になるって、決めたの』

ミアの目に、光が戻った。

傍らにいた藤虎は、その感情を感じた。

藤虎
(シセルバの…あんたは…そこまで)

『だから、あんたに何を言われる筋合いもない！私のことは放っておいてよ…！』

サカズキは眉間に皺を寄せ、立ち上がった。

サカズキ
「そうもいかん。貴様は我々の手から政府に引き渡すようになっとるんじゃ。今から引き渡し、貴様にはその男のことも忘れてもらうけんのぉ」

(…忘れる…？)

その言葉に違和感を感じ、ミアはハッと顔を上げる。

サカズキ
「当然じゃ。今後の任務に支障をきたすようなことがないよう、お前の記憶は消させてもらう。」

そうだ。
当然だ。

何もされないわけがない。
自分がミホークのことを想っていられるのも…時間の問題だ。

世界政府が、海賊に成り下がった女をただ能力を引き出すだけなんてことはありはしない。
手駒にしたがるに決まっている。

ミアは突然芽生えた恐怖心で身を強張らせた。

『…助けて…ミホーク…』