遠恋/天月 ページ9
冬、高校生の私達はもう進路を決め、それぞれの道を歩むために努力をしている時期。もちろん私も、彼も同じ。
周りも自分も、自分の目標に向かって必死に勉強をしている中。最近さわることの減ったスマホが、通知を知らせる音を鳴らす。
「ん…だれだろ。」
-天月-
天月…？
彼は、私の幼馴染みだ。どこの大学を目指してるかは、教えてもらえなかったため知らない。しかし、ちゃんと彼も目標を持って努力しているのは確かだ。
「どうしたんだろう。珍しいな。」
この時期だからというのもあるが、普段からあちらから連絡をよこすことなんて全くといっていいほどない。だから、そんな彼からのメールが珍しくてしかたがない。
天月いつものとこ、来れる?
いつものとこ。それは、幼い頃二人でよく遊んだ公園のこと。高校に入ってからも、たまにそこで話したりもしていた。
「勉強中だけど、まぁ、少しならいいかな。」
Aすこしだけなら。今から行くね。
▽
「お待たせ」
いつものとこに着くと、既に天月が待っていた。こんな気温なのにもかかわらずマフラーも手袋もしていない。着ているコートもうすめだ。
「ちょ、その格好。風引くよ。」
街灯で照らされている、赤い顔を見て急いで自分がまいていたマフラーをはずし、天月にまく。
「ありがと」
「いえいえ。それで、どうしたの。」
いつもの元気がない天月に少し違和感をもちながら本題に入る。
それに少し迷いを見せた天月。なんだか、胸騒ぎがする。
「俺、家、出ていくことにした。」
「……え、それって…」
家を出る、ということ。それは、彼にとっては遠くに行く、ということ。
「音楽やりたくて。夢、叶えに行こうとおもう。」
ずっと前から音楽が好きだった彼。高校に上がった頃から音楽を仕事にしたいと言っていた。彼は、天月はそれを叶えようとしてる。夢を、実現させようとしている。そんな素晴らしいこと、
「応援しないわけがない。すごいよ、天月ならきっとできる。頑張って。」
そう言うと、天月は一瞬驚いた顔を見せたあと、悲しそうな顔をした。
「うん、ありがとう。」
「でも、東京か。なかなか会えないね。一人暮らしでしょ？心配だなぁ。」
「そうだね、あえない。」
二人の間に沈黙が流れる。風に揺られる草木の音が、静かな夜に響きわたった。
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夜兎月(プロフ) - 胡桃さん» ありがとうございます。光栄です。受験生ですので数ヶ月お待ちいただけますと幸いです。更新を再開した際にはまたよろしくお願い致します！ (2020年10月25日 23時) (
レス) id: 7d287da9d4 (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - 神すぎる！！更新頑張ってください！！ (2020年10月20日 16時) (レス) id: b54d2dadf8 (このIDを非表示/違反報告)
夜兎月(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» そう言っていただけると、嬉しい限りです！ありがとうございます。頑張ります。 (2019年7月28日 23時) (レス) id: 6fff1bcc40 (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください！！ (2019年7月28日 12時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
夜兎月(プロフ) - みゃーさん» ありがとうございます!頑張ります。 (2017年7月22日 20時) (レス) id: e9eec8a170 (このIDを非表示/違反報告)
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