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「別に歌い手さんだからいぶくんと付き合ったわけではないよ。でもね私は好きなことに一生懸命ないぶくんが一番好きなの。私が、私の存在が、いぶくんの邪魔になってる。きっとファンの人もそろそろ気づき始めてる。」
「そんなこと…ッ⁉」
淡々と言葉を続ける私に、焦りを覚えたのか些か感情的に、なっているいぶくん。いつもの冷静で理性的ないぶくんからは想像できない。
そんなことない、そう言おうとしたのだろう。しかし、最後まで言われることはなかった。私の顔をみた瞬間彼はまた、目を見開いた。目を合わせていられなくて、顔を俯かせる。すると、その直後、いぶくんは私を抱き締めた。
「…ごめん。ごめんね。僕、不器用だから、ちゃんとできなくて…ッ、Aがそんな風に思ってることにも、気づかなくて、ごめんね、ごめん、お願い、謝るから、お願いだから……泣かないで…ッ」
「僕には、Aを手放すなんて考えられない、だって誰よりもAが好きだから…。」
私の抱き締めたまま、私の頭をゆっくり撫でるいぶくん。優しい声色で、子どもをあやすように言葉を紡いでいる。
「でも、それがAを傷つけてるんだね。僕は、Aが好きだから、それでもAと別れようとは思えないけど、距離をおこう。少しだけ、いや、どれだけ長くてもいいよ。お互いゆっくり考えて、また、会おう。
それでも、僕と別れたかったら、僕は君を、Aを諦めるよ…。」
「…うん。」
堪えていた涙が、頬を伝う。私の涙が、いぶくんの肩を濡らした。
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夜兎月(プロフ) - 胡桃さん» ありがとうございます。光栄です。受験生ですので数ヶ月お待ちいただけますと幸いです。更新を再開した際にはまたよろしくお願い致します! (2020年10月25日 23時) (レス) id: 7d287da9d4 (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - 神すぎる!!更新頑張ってください!! (2020年10月20日 16時) (レス) id: b54d2dadf8 (このIDを非表示/違反報告)
夜兎月(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» そう言っていただけると、嬉しい限りです!ありがとうございます。頑張ります。 (2019年7月28日 23時) (レス) id: 6fff1bcc40 (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年7月28日 12時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
夜兎月(プロフ) - みゃーさん» ありがとうございます!頑張ります。 (2017年7月22日 20時) (レス) id: e9eec8a170 (このIDを非表示/違反報告)
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