25，ロクでなしでも ページ26
「…あったかい」
洞窟の中で少年が起こしてくれた焚き火に手をかざし
笑みをこぼすA。
その様子をチラ、と見た少年は
すぐに目を逸らして、罰が悪そうな顔をした。
「こっちに来て座ろうよ、
あったかいよ？」
Aがそう少年に声をかけるも
少年は立ち尽くしたまま、口を開く
「…どうして」
「うん？」
「どうして、庇ったんだよ」
話を切り出しては見たものの
Aを見ていられず
少年は背を向けた
「俺はケースを持ち出した…
あんたを裏切ったんだ。
俺なんか庇わず、ケース取り返して
逃げりゃ良かっただろ。
そうすれば、そんな怪我だって……っ」
グッと拳を握り締める。
少年は自分の都合でケースを奴等に渡そうとした。
だから、Aだけ逃げるという可能性があっても
責める事など出来ないのだ
「…あの時、そんな選択肢
私にはなかったよ」
それを聞いた少年は、鼻で笑い出した
「昼間だって、ヴィランが盗んだ宝石を
運んでたんだ俺は！」
少年の発言に、Aは僅かに目を丸くした。
「…え？でも、ケースの中に宝石は」
「取り違えたんだよ、事故の時に！
俺もわけ分からないまま…っ。でもこれだけは言える。
あんたらヒーローが嫌いな犯罪者なんだよ、俺は！」
「…」
「ガッカリだろ？
そんなロクでなしを救けたんだよ、あんたは…」
「…それは関係ないよ。私はただ、
貴方が救けを求める顔をしてたから。
それに、誰も死んでほしくないから」
確かに死を覚悟した直前、少年は
心の底から救けを求めていた
「…けど、それで怪我したら
割に合わねぇだろ…っ！」
「私は、見返りが欲しくて人を救ける訳じゃない。
救けられたなら、それで充分だもん」
屈託のない笑みを向けるAに
少年は納得ができなかった。
苛立ちさえ感じている
「…なぁ。はっきり言えばいいだろ、
俺のせいで怪我を負いましたって…
どう落とし前をつけるんだって！」
Aの本性が知りたかった。
こんな善人みたいなセリフを吐く奴など
大抵裏があると思ったからだ。
世の中、そんな考え方で生きていけるわけがない
「これくらいの怪我、日常茶飯事だよ。
よく食べて、よく寝て、よく動けば治る！
だから心配いらないよ、ありがとう」
どんなに責めても、礼まで言われる始末。
「……心配なんか、してねーよ」
少年は、呆気に取られたように
呟くくらいしか出来なかった。
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無希(ナキ)(プロフ) - ナギサさん» ぬぅええええありがとうございます！！！ナギサ様もイラストを描かれるんですね、気になります…！！小説も読んで下さり、嬉しいです！読みやすさなどはいつも心がけていたので、そう言って頂けるなんて幸せです！これからも頑張りますね！本当にありがとございました！ (10月15日 19時) (
レス) id: 35a497e8fb (このIDを非表示/違反報告)
ナギサ(プロフ) - 小説もそうなんですが、なんというか読んでて気持ちいいというか言葉がストンと入ってくるのでとても読みやすいです!!!!これからもよろしくお願いします!!!! (10月10日 20時) (レス) id: f18589988d (このIDを非表示/違反報告)
ナギサ(プロフ) - う…控えめに言って最高です…（泣）というか画力上がってませんか!?私もイラストとか描いたりするんですが、ナキさんの描き方がめちゃくちゃ憧れです…✨立ち絵とか凄いなぁと毎度毎度驚かされてます!!!! (10月10日 20時) (レス) @page1 id: f18589988d (このIDを非表示/違反報告)
無希(ナキ)(プロフ) - Nana62600さん» ありがとうございます！更新がしばらくできずすいません…どうにか続きが書けるよう精進しますので今しばらくお待ち下さい (2022年7月5日 18時) (レス) id: 15f8c458bb (このIDを非表示/違反報告)
Nana62600(プロフ) - 更新ずっと待ってます！！！ (2022年7月1日 16時) (レス) id: 4e174f0a48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無希(ナキ)
| 作成日時：2022年3月5日 16時
