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『ここにいたんだ、A』
大きな足音と走り回ったであろう息づかい、それと、、、大好きな声
見上げれば少し腫れた右頬
「徹…」
泣き顔で名前を呼べば
後ろからぎゅーっと抱き締められる
『ごめん、謝っても謝りきれない。
昔からの約束、守ってくれてありがとう。ずっとかいてくれてるなん気付かなかった
まだ俺のこと好き?もう見損なった?』
自信の無さそうな声は
いつも自信に溢れている徹の声とは思えない
「もう、前から見損なってるよ」
思っていることとは真逆の言葉が口からあふれでる
「ずっと好きだったのに、全然気付いてくれないし
いじめられてるときも助けてくれないし
自分のことかっこいいって思ってるし…かっこいいけど。
女を孕ませたって噂流れてるし
もう、見損なえないくらい見損なってるよ
でも、それでも、徹のことが好きなの。好きすぎるの」
12年越しの片想いに終止符か。
『A…。
Aが俺のこと好きって多少は気付いてた。
いじめられてるのも岩ちゃんから聞いてた
自分のことは…かっこいいって思ってる。ルックス命の及川さんだもん。
孕ませた、は嘘。えっちはしたけど大丈夫だった』
聞かなくていいことまで聞いた…
『俺はちゃんとAのこと好きだよ?』
「嘘。私のこと好きなら他の女とえっちしないでしょ」
『先輩に襲われたの、しかたなかったんだよ』
「こういう大事なときに、バカな話しちゃう、あほな徹も好き」
小豆色のネクタイに手をかけて
少し強めに引っ張る
『だーめ』
ネクタイにかけた手を引き離される
『そういうのは女の子からすることじゃないよ』
少し腫れた右頬の赤みは先程より引いたはずなのに
徹の顔はほんのり赤い
もう15年以上一緒にいるのに
こんな至近距離になったの初めてかも
私の顔はどんなに赤くなっているだろう
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作者名:兎花@希彩 | 作成日時:2018年7月8日 8時