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「よかった、一番心配してたのは、そこだったから。笑顔でいればきっと幸せになれるとは思ったけど、時間かかるかなとは思ってた」
「……」
「明日から俺は、姫と王子が踊ってる周りで指を加えて見てるギャラリーに変身しますから、どうぞお幸せに」
「……え？」
Aさんが困ったみたいに、ちょっと笑う。
「ボーナス入ったらスーツ代返します。次長はこれからも見張るから大丈夫」
「何言ってるの……？」
「それにいつかハリボテ王子じゃなく本物が現れるよ、……近い内に『絶対』ね。お幸せに」
帰ろうとしたら、Aさんが俺の腕を掴む。
「何？」
「……どうして？」
「Aさん、認知的バランス理論って知ってます？」
「……え？」
「俺らが急速に仲良くなった理由も、Aさんに仲間が出来た理由もそこに終結する」
Aさんが戸惑ってる。
「共通の敵がいる限り、結束は深まるんです。戦時中は不思議に政府の支持率は下がらないんですよ。共通の敵がいれば国民は結束する」
「……」
「リストラという敵が俺たちを近づけたように、Aさんはこれからも俺を敵にし続けることで、居場所は確保される。だから、離して」
「え、嫌だ……」
「いつか、王子様が現れるよ、ほら、笑う！ビビディバビディブー！」
俺がそういったら、Aさんが今にも泣きそうな顔で首を振る。
「あれ、失敗？」
「……嫌だ……」
「ほら、Aさん知ってた？今日は月が綺麗だよ。満月かな」
Aさんが顔を上げて、空を見上げた。
「お月様見たの、久しぶり……」
「……じゃあ、また明日」
「待って」
「ん？」
「私、翔くんが好きなの、ずっと前から」
「それ、皆の前で言わない方がいいよ、折角出来た仲間からまた追い出される。俺もう一人ぼっちのAさん見たくない」
Aさんが急に、アハって笑って後ずさりする。
「あ、そっか、こんなキモい女に好きって言われて迷惑だよね、ごめんね」
ああ、Aさんは、バカだ。
「迷惑なわけないでしょ……好きに決まってるよね、じゃないとここまで頑張るか、普通」
Aさんが、いきなり俺の胸に飛び込んで、ぎゅううって抱きついた。
「うわ！」
「翔くんが一人居れば充分なの！何役もこなせるんだから」
「……えっ！」
「一人にしないで」
Aさんの目から涙が落ちた。
涙ひとつでかたい決意が、揺らぐ。
「泣かないで」
Aさんを、思いっきり抱き締めた。
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みらしゅ(･(ｪ)･m)(プロフ) - 凄くいい作品です！時々読み返したくなるので、消さないでほしいのが願望です。ファンタジーで、今までの小説で一番好きです！シンデレラが好きになりました！ (2016年7月31日 2時) (
レス) id: f41e8b74ae (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 家族ゲーム (2014年5月17日 14時) (レス) id: 97cf9039f6 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - こんばんは。はあぁ、幸せなお話でした(*^^*)目覚めた翔くんにドキドキして、残念な翔くんが愛しくて。ビビディバビディブー☆☆素敵な魔法ですね！これから彼女side読んできます(^^) (2014年5月15日 23時) (レス) id: f18cef468b (このIDを非表示/違反報告)
レモネード(プロフ) - 面白かったです！才能が…分けて欲しいくらいです！これからも楽しみにしてます！！ (2014年5月12日 19時) (レス) id: a914512a26 (このIDを非表示/違反報告)
よしの(プロフ) - kobajさん» マジですか。ありがとうございます。嬉しい。テンポがいいっていわれるのがほんと嬉しいです。こっちは完全にコメディ風で、彼女sideはちょっと後半切ない感じになりそうです。またよろしくお願いします！ (2014年5月9日 20時) (レス) id: 64468d89e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2014年4月15日 11時
