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ああ、あの時ね。
「ごめんね、櫻井くん、お人よしで、単純で、騙せそうだったから」
「……」
「嘘ついて、風除けになってもらおうと思ったんだけど……」
「……うん」
Aさんが、小さい消えそうな声で、続ける。
「櫻井くん思いのほかいい人で、騙してるのが申し訳なくて」
「……あのさ、リストラ嘘だったって聞いても、嫌いにはならないけど？」
「……」
「だって次長に人事権あるのおかしいもん。それにリストラ対象者って、もっと内々に進めるもので、人事にリストラ対象者一覧が人目にふれるとこにあることすら変。下手したら、逆恨みされて家族とかも危険が及ぶ。人事部長も大変だ」
「……」
「次長が嘘ついてるんだと思ってたけど、Aさんも嘘ついてたのか」
Aさんが俯いたまま、動かない。
「利用したんだよ、怒っていいよ」
「全部、嘘だった？」
「何が？」
「俺のことカッコいいよとかいろいろ言ってくれたのも全部嘘？」
Aさんが、まっすぐ俺を見て、言う。
「ごめん。自分がちゃんとしたら、櫻井くんにどう見えるかもわかって利用した」
「一緒に服選んだりしてる時も、演じてた？」
「櫻井くんをボディガードにするために、その気にさせたり服買い与えて飼いならそうとしました。ごめんなさい」
「他のやつを選ばなかった理由は、俺のこと、ちょっとは気に入ってくれてたからじゃなくて？」
「たまたま、バッタリ会ったから、使えそうだと思いました」
「おれのこと、全く、なんとも思ってなかったんだ、そっか」
ああ、バカみたいだ、俺。
この期に及んで、ちょっとは好きだったって言って欲しいとか。
幻想を。
「おもちゃを見つけた。そういう意味では、楽しかった」
「……」
「ちょっと位なら、遊んでもいいかなって思ったけど、手をつなぐ以上のことはしてこなかったから、ありがたかった」
「……３ヶ月後嫌いになるってのは？」
「ボーナス査定の結果みたら、リストラ候補じゃないってこと、自分で気付くでしょ」
「……」
「だって、櫻井くん、可もなく不可もない、普通。リストラ候補に上がるほどよくも悪くも目立って無かった」
もう、聞いてるのがきつい。
でも、最後に、ひとつ、聞く。
「部長の接待断ってスキー行ったことを知ってたのも、俺の似合う色知ってたのも全部適当？」
「わかってるんなら早く帰ってください」
Aさんが、スーツを押し付けて俺に背中を向けた。
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みらしゅ(･(ｪ)･m)(プロフ) - 凄くいい作品です！時々読み返したくなるので、消さないでほしいのが願望です。ファンタジーで、今までの小説で一番好きです！シンデレラが好きになりました！ (2016年7月31日 2時) (
レス) id: f41e8b74ae (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 家族ゲーム (2014年5月17日 14時) (レス) id: 97cf9039f6 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - こんばんは。はあぁ、幸せなお話でした(*^^*)目覚めた翔くんにドキドキして、残念な翔くんが愛しくて。ビビディバビディブー☆☆素敵な魔法ですね！これから彼女side読んできます(^^) (2014年5月15日 23時) (レス) id: f18cef468b (このIDを非表示/違反報告)
レモネード(プロフ) - 面白かったです！才能が…分けて欲しいくらいです！これからも楽しみにしてます！！ (2014年5月12日 19時) (レス) id: a914512a26 (このIDを非表示/違反報告)
よしの(プロフ) - kobajさん» マジですか。ありがとうございます。嬉しい。テンポがいいっていわれるのがほんと嬉しいです。こっちは完全にコメディ風で、彼女sideはちょっと後半切ない感じになりそうです。またよろしくお願いします！ (2014年5月9日 20時) (レス) id: 64468d89e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2014年4月15日 11時
