忘れられない２ (ページ6)

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「がんばる……？」
「がんばってないよね、全然」
「……私が頑張るのは、諦めるってことです」
「それでいいの？」
「それ以外、他にいい方法あるなら教えて？」
「……」
「雅紀くんが幸せになれるなら、私なんて」
「あのね、」
大野さんが、ちょっと笑う。

「相葉ちゃん、Aちゃん幸せになってほしいなって、言ったんだよ」
「……」
「前にね、Aちゃん、すっげ泣いたときあったでしょ」
「あ、目から水がでる特異体質を告白したとき？」
「そうそう。そのとき」
笑い合ったら、子犬が私の手の中で、うとうとしてたのがビクッとする。

「おれも、たぶん、松潤も、ニノも、そう思ってるよ。応援はしないけどね」
「どうして」
「だって、いっぱい泣かせてる。」
「……勝手に泣いてるだけです……」

こんこん。ノックの音。
「はい？相葉ちゃん」
「あのね、Aちゃん、貸してもらえない？」
「やだ。今、くどいてる」
「……」
「ヌードかかせろって口説いてる」
「え？それ完成したら、見せてね？」
「ヌードなりませんよ！こっちのヌード、かいたら？」

子犬を持ち上げる。
「わわわ！超かわいい！」
「はいんないで。Aくどいてんの」
「……ヌード？」
「おれんとこで働かないかって。看板娘」
「このこ、看板娘になりそうですよ？」
やっぱり子犬をなでなで。

「あの、Aちゃん、貸して……」
「じゃあ、駅までなら。大野さん、帰ります。わんちゃん見せてくれてありがとうございました！また来ますー」
「お会計は、翔ちゃんにつけとくー」

勝手口からぐるっとまわって、そのまま駅に向かう。
店長には、メールでお先失礼します、と送る。

「Aちゃん、あのさ、Aちゃんってそういうの、嫌いだよね？」
「そういうのって？」
「好きじゃないのに、関係を持つみたいな……」
「私、人のこと言えません」
「そういう経験、ある？」
「……」
「言わないか」

「……何が言いたいの？」
「気に障ったらごめんって言いたくて」
「欲求不満たまることは仕方ないでしょ？飽きもせず１年半も片想いしてるんだもんね」
「……きっつー」
雅紀くんが苦笑い。

そんな誰でもいいんなら、私を選んでよ、って。
思ったりする。どうしても。

「私、が、相手に、なってあげても良かったのに。他の子を、そんな……」
「……何いってんの？Aちゃん、好きな人……」
「雅紀くんだって、好きな人いるでしょ？」
「……」