忘れられない２ (ページ48)

今日:1 hit、昨日:37 hit、合計:737,315 hit

83 ページ48

『絶対何にもしないから！……チュー以外！』って宣言して、
ほんとに何もしないのが雅紀くんの雅紀くんらしいとこだったりする。

絶対何にもしないからって言って何にもしない人がこの世にいるんだという、
新鮮な驚きで、はっと目が覚めた。
昨日のどきどきを返して。
こういうところまで大好きなんだけど。

今、朝７時だから、今日は遅番だから11時までに店に行けばいいとして、ここから家まで30分で、えっと……眠い。

私にベッドを貸してくれて雅紀くんはソファーで狭そうに寝てる。
雅紀くん今日休みだって言ってたし、ベッド返さなきゃ。

なんか色々話したけど、全然話が通じなかった。
『二人とも両想いなら、もうそれでいーじゃん、ね？』
っていう結果に落ち着くまで夜中の１時半までかかった。

ゆーちゃんってなんだったの、って聞いたら、Aちゃんに似てるとか言われて、
全然似てないでしょ？ってちょっとムカついたり、
一緒に水族館行ったって聞いて腹を立てたら、でもペンギンの視線の先は壁だったんだよ、
とかまた意味が分からないこと言って頭の中クエスチョンマークだらけ。

そんなことより、いつから好きだった？どれくらい？っていっぱい聞いてきて、
その度にぎゅーってされて、話にならなくて。
全ての謎が解けるまで、あと少なくても３ヶ月はかかりそう。

「雅紀くん、洗面所かりていい？」
「……んー」

……まあいいや。勝手にかりる。
接客業の基本。携帯用の歯ブラシと化粧道具。
一旦帰れるくらいの化粧だけして、雅紀くんに声を掛ける。

「雅紀くん、私一旦帰るね」
「…………わ！」
雅紀くんががばあって起き上がる。
「わ！」
「びっくりした」
にこって笑って目をごしごし。

「全部夢だったらどうしよっかと思ったー！」
ふわあって笑う顔が可愛くて胸がぎゅううって苦しい。朝からどうしよう。

「……今日ご飯一緒にたべよーねー……お昼も大野さんとこいっちゃおうかな。Aちゃんが異動するまでいっぱい一緒にいなきゃ」
…………しまった！異動しないよって言ってない！
ヨレヨレの格好で仕事に来た理由も聞いてない！

昨夜の会話の意味のなさったら、ない。

『どれくらい好き？おれはねー、うわあああって位大好き！』
ぎゅうう。
思い出して、ひゃあって。

「あとで連絡するね！」
「あ！いってきますのチューは？」

雅紀くんが立ち上がって、すくい上げるようにチュってキスした。
甘くて、気が遠くなるかと、思った。