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「おはようございます」
「ああ、おはよ」
松本さんがチラッと雅紀くんの方を見て、私の顔を見る。
見たくない。
ゆーちゃんみてヘラヘラしてんだろーなって思って。
でもここまでの私の反応を気にされるのも、違和感があるというか。
思いきって先にゆーちゃんを見たら、自分のネイルを眺めて、時々チラッと目を上げてこっちを見る。
店長？
じゃない！誰みてんの？
「あれ？清水くん」
目線を追うと清水くんが私を見て笑いかける。
キラーン！って感じ。
「先輩おっつでーす！」
「……」
「あれあれー？お忘れですかー？」
「今日は、何を……」
「応援ですよぅ！おーえん！」
……頭が痛い。
着こなしはかなりの上級者。
すっごくイケメンでかなり可愛い。
凄くお洒落で清水くんの着る服はすぐ売れる。
仕事もできるし、顧客の心を掴むのは最強。
なのに、
私の方を見て、バーン♪とかやってくる。
これさえなけりゃ……！
視線を感じて振り返る。
んんん？
この背中、この立ち方は。
「雅紀くんっ？」
「……」
叱られた犬みたいにチラッとこっちを見る。
「なにそれぇ！」
お客さんがいるのにも関わらず大声が出る。
「……Aちゃん」
思わず店長を振り返る。
「店長すみません。タイムカード押す前にちょっと相葉さんのとこに行っていいですか」
「……どうぞ？」
目を上げてにんまり笑われる。
「雅紀くん、なにやってんの？どうしたの？」
茶色くてサッラサラだった髪は真っ黒でボッサボサ。
大きな伊達メガネに、ボロボロのパーカーにボロボロのスエットパンツみたいなの。
「どうしてねずみ男やってるの？」
「あ、やっぱすぐ俺ってわかるんだー」
「当たり前だよ？どうしたの？」
「Aちゃんのせい」
「……」
「Aちゃんのせいなの！」
「えっと？」
「Aちゃんのせいだからね！」
そう言いながらどこか行こうとする。
「待って！ショップ店員として言わせてもらう！その格好で売り場に立っちゃダメ！」
「……」
「お洒落でかっこいい雅紀くんどこいったの？」
「お洒落でかっこいい雅紀くんに戻ったらまた仲良くしてくれる？」
「……」
「俺、Aちゃんに避けられてお洒落する気力ないの！」
「あ、あの……」
周りの全員がこっちをジーっと見てる。
「もう、彼氏出来ちゃった？」
「……」
「出来ちゃった？？」
気持ちを立て直してピシャリと、言う。
「勤務時間中！また後で！」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2014年2月21日 12時
