忘れられない２ (ページ34)

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69[side MASAKI] ページ34

「……相葉ちゃん……」
「うー……Aちゃんち、どこ？」
目をごしごし。

「相葉ちゃんが知らないんなら、皆知らないでしょ……水族館のとき迎え行かなかったの？」
「駅で待ち合わせしたも……」
ティッシュで鼻をずずーっとかむ。

「このティッシュ優しい……」
「いーでしょ、松潤が、また買っちゃったって言いながら持ってきた」
「……うぅー……あ！潤くんならAちゃんち知ってるよね？聞いてみる」

携帯を取り出したら、大野さんがダメだよ、って言う。
「松潤多分デートだから電話かけたら怒られるよ、」
「…………誰とデート？」
「彼女」
「彼女いるの？」
「うん。モデルみたいなすごいのと歩いてたの見た。彼女いないフリしてるんだって。売上に響くから」

自分のこと良くわかってて何かちょっと別次元だよ。ここまできたらプロ。
「Aちゃんに電話かけつづけることにする、一晩中」
「ちょっと怖いぞ」
「メールもラインも送り続けることにする」
「嫌われそうだな」
「…………ううぅ……それはやだ……」
「ほら鼻かめば？はい」
ティッシュをうけとって抱きついて、泣く。

「それあげるから、何も注文しないんなら家帰んなさい」
「帰る……」

トボトボと、帰る。
Aちゃんの片想いの相手って俺？
いつから？気付けよ俺。

あのチョコ本命だったんだよ、って言われて、演技力を褒めたおれバカ。
ゆーちゃんが好きなんでしょ？って頑張れって言わせたおれのバカ。
恋愛相談のってあげるから俺のもお願いなんて言ったおれのバカ。

時々こっそり泣いてたのも、俺のせい。
シュミレーション？シミュレーション？
そんなこと言ってたくさん傷つけてたんだ。

どれだけ傷つけたんだろう。
思い出す全てのことが。

電話は、電源を落とされたみたい。
着信拒否かも。
明日俺が休みなの知ってるから、16日になったらケロっとして、
おはよーとかいって、
また避けるのかな？

14日のあれ、なんだった？って聞いても、
過ぎ去ったことって過去形にしちゃう？

電車の中で、ティッシュを抱えて泣いてる男が一人。
学生？ＪＫが俺見てひそひそ言ってる。

『今、寂しくて死にそうって言ったら、抱いてくれる？』
『Aちゃんは、大切な、友だちだよ……』

あの時返事を間違えたんだ。

Aちゃんが大好きだから、そんなことできない

って
ちゃんと言うべきだった。

大嫌いなんていわせちゃった。

誰か、時間を、戻して。