忘れられない２ (ページ30)

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65[side MASAKI] ページ30

バレンタインの当日。
朝からいきなり事務所の子にチョコもらった。
びっくりして潤くんに言おうと思ったら、パートさんに店長休みですよって言われる。
「どうして？」
「面倒だからです」
「面倒？」
「お返しが！できたら半分くらい減らしたいって思ってるみたいで」
「…………」
「それでもお預かりが今で５つ。営業スマイルは天下一品ですからね」

負けた。そんな人に大切にされてるAちゃんって何者。

お昼になって、大野さんのお店に行ったら、みんながいた。Aちゃんも！

「おまたせー」
さりげなーく、横に座る。
Aちゃんが、妙にすがすがしい顔で、俺を見る。

「お疲れさま」
「お客さんからチョコもらったよー」
「なに？チョコの数を比べるならまけねーぞ！」
翔ちゃんが話に入ってくる。

「わたしはAの本命チョコ一個だけ」
「おいらもAの本命チョコ一個」
むしろそれ以外全部断ってるんですけど？みたいな言い方してるニノと大野さん。

「俺Aちゃんからまだ本命チョコ貰ってなーい！」
拗ねてみる。義理はあるはずなの、絶対。義理だけど。
「はい、これどうぞ！」
「やったー！一番嬉しいー！」

あれ、泣きそう。
嬉しい。ね、もしかして、また前みたいに、元に戻れる？
…………友だちでも、友だちの彼女でもいいからさ。

前みたいに楽しく過ごして、この約10ヶ月間のブリザード期間なんだったんだろって思う。
よかったなあって。また戻れるかな。
側にいれるんなら、もう何でもいいよ。
ハッキリ言って、側にいれるなら、痛いのも苦しいのも、楽しいのとプラマイ０だよね、きっと。

Aちゃん、一緒に帰ろ。
駅までだけど。もし大野さんとこにいくなら、送っていくよって、
声掛けるぞ、絶対。
そう思いながら、商品整理をしていたら、ゆーちゃんに、声をかけられる。

「相葉さん、ちょっといいですか？」
「なに？ちょっと待ってて？片付けてるからー」
「待ってます」

話すの久々。
Aちゃんを見たら、さっきまで一生懸命何かを書いていたのに、もう、いなくなってた。
はや。
でも、ま、明日も明後日もあるし、いっか。

「お待たせー。んー？何？」
「……あの、これ」
ゆーちゃんが、可愛い紙袋を俺に渡してくる。

「ああ、ありがとう。チョコ？やったねーうれしー」
「あの、それで……」
「ん？」
「もし、今彼女いないんなら、私と付き合ってください」