忘れられない２ (ページ25)

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60[side MASAKI] ページ25

女の子を引き摺って、タクシーに無理矢理のせて運転手さんにお金渡して、
ドアを閉めて走って逃げた。

女の子怖い！
ゆーちゃんがもう歩けない、帰りたくないとか言っても何言ってんの！困るって焦るよきっと。

……でも、もしAちゃんだったら？
もう歩けない、帰りたくないって言ったら？
朝までずっと、傍にいてあげる、って当たり前みたいに、思うけど。
Aちゃん、誰かに帰りたくないって言ったりするのかなあ。
もしかしたら、帰したくないとか思っちゃいそうな……

……あれれ何これ。胸がずきずきする。病気？

その３日後くらいに、大野さんのお店で、最近ギクシャクみたいになってたAちゃんと、やっと会えた。
潤くんと、真面目な話してる。
邪魔しちゃまずいから、大人しく話が終わるのを待って、
今度こそ、恋愛相談のってあげるとか、口実作って話したいなって、思ってたのに。
翔ちゃんが余計なこと、言うから。

『お持ち帰り成功した？』なんてこと。
潤くんが、Aこういう話苦手だからやめてって、必死に守ってる。
こういう下世話な話に巻き込みたく無いくらい大切ってことなんでしょ？
そしたら、Aちゃんが、急に怖い声で、言った。

『気にしないでいいよ、私だって一夜の過ちの一回や二回』
『女だって、人肌恋しいときも、ないことはない』

って。

『……だから、男の人が、そんな風になるのは仕方ないけど、
もう二度と、私に恋愛相談のってとか言わないでね！』

怒らせた。でも、そんなAちゃんが想像するようなことなかったんだって。
そう言ったら、

『私に言い訳しても、仕方ないでしょ？雅紀くんが、だれとどうなろうが、私には関係ないんだもん！』

ハッキリ、傷ついた自覚があった。
ズキって、心臓が張り裂けるかと思った。

大野さんが、Aちゃんを連れて、厨房の奥の勝手口の方に連れて行く。
誤解、とかなきゃ、それだけを思って、なんとか無理矢理Aちゃんを取り返したけど、
でも、何て言うの？
ごめんねって言うの？
でも浮気もしてないし、Aちゃんが彼女なわけでもない。

「気に障ったらごめんって言いたくて」

バカみたいだけど、こんな言い方しかできない。
だって、Aちゃんがどうしてこんなに怒ってるのかも、わからない。

一途じゃないってことを攻められてる？
それなら、怒られても仕方ないよ。

だって俺、ゆーちゃんより、大切な子がいる。
目の前に。