忘れられない２ (ページ22)

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57[side MASAKI] ページ22

怒ってるお客様に、家まで伺うか、引き取り交換かってお願いすること30分。
不良品もって行くから金返せ、で納得してもらって、疲れきって大野さんとこにやっといける。

行ったら、Aちゃんが涙をぼろぼろ零してた。
翔ちゃんと、何かあった？
翔ちゃん、もういないし。
ここまで泣かせるって何事？
何言ってこんなになるの？

Aちゃんに、先約俺だったのに翔ちゃんと行くなんてって言ったら、
気を利かせてくれたって。

恋愛相談にのって欲しい、なんて適当な口実。
泣いてるAちゃんをちょっとでも笑顔にしたいから、
お互い気晴らしに、デートしない？って言ってみた。
名案だと思ったんだ。名案だって。

片想い同士、癒しあおうよなんて、バカみたいに。

厨房から大野さんが出てきてAちゃんに時間だよって言って、見送ったあと。
大野さんが、結構キツめの言い方で、聞いてくる。

「なんで誘った？」
「え？」
「デート。なんで誘った？」
「あ、聞いてました？」
「声でかいよ」
「すみませーん」
もぐもぐ。ご飯を食べながら笑って誤魔化す。

「Aちゃんには幸せになってもらいたい！元気出してもらいたい」
「逆効果とは思わない？」
「どうして？気晴らしにならないかなー？嬉しそうだったよ？」
「わかんないんなら、いい」
「わかんない……苦しい恋しちゃってんでしょ？相手はだれ？まさかマスター？」
「おれだったら泣かせないよ」
背中を丸くして、コーヒーを啜ってる。
わー。どういう意味よー！

「……泣かせる悪い男って誰かな？」
「相葉ちゃんの、よく知ってるやつだな」
「うっそ！誰！」
「本人に聞けばいいよ」
「教えてくれないんだよー」
「よくみてりゃわかるでしょ」

やっべ。ぜんぜんわかんなーい！
ふふんって笑って、それ以上何にも教えてくれない。
「相葉ちゃんは、ゆーちゃんって子の事すきなんでしょ？」
「うん。かわいーなーって思うよー。一生懸命翔ちゃんに片想いしてるでしょ」
「……」
「がんばれーって応援したくなるよねー」
「……彼女にしたいっておもわない？」
「俺の？だってあの子翔ちゃん好きなのにー？」
「……」
「ん？」
「……なんか、間違ってんぞ」
「何を？」
「ま、明日は、楽しんできて」

なんか、変？
かわいいなって思うのは好きだってことでしょ？
Aちゃんだってかわいいから、好きだよ。
けど、潤くんの大切な人だしね。