忘れられない２ (ページ13)

今日:21 hit、昨日:37 hit、合計:737,335 hit

48 ページ13

バレンタインの、前日。
みんな、周りはそわそわしてる。

無心になって、ブラウニーとクッキーと、あとオロナミンＣとかセットにして、いっぱい作って、可愛くラッピングして明日の用意をしたら、ふうって、ため息が出た。

私の手作りのお菓子なんて、ゆーちゃんから貰う、チョコで吹き飛んでしまうよね。
みんなに、いつもありがとう、ってメッセージを書いたりしながら、苦笑い。

雅紀くんのメッセージは、いっぱい考えて、一言だけ、書いた。
読んでなんて思うんだろう。
その顔をみるときは、もう他の人の彼氏になってる。

２年。
であって、２年。
ずっとずっと、ずっと、好きだった。
倒れそうになったとき、助けてくれた。
目が合って、嬉しくて、他の子を切ない目でみてる雅紀くんをみて胸を痛めて、

去年、一緒に水族館いったこと、今頃鮮明に、思い出してる。
何回も、すきだって言えるチャンスはあったのに、上手く言えないままで。

お互い、ずうっと、一方通行。

誰でもいいなら、、抱いてって言ったら、
大切な友だちだよって、言われた。

会えなくなるより、傍にいたいって思ってたのに、
その瞬間、その比重は、逆転した。

痛みでもう、耐えられそうもない。
会えなくなって、これ以上好きが増えなくなったらいいんだって。
そう思ったのに。

ね、心から、よかったねって言えるかな。
あんな子じゃなくて、私を選んでよなんて、いえなかった。
好きな人の大好きな人の悪口を言う女にはなりたくなかった。

傍に入れるだけで、よかったのに。
友だちでいれるだけで、よかったのに。

でも、もう、おわり。
これで、ぜんぶぜんぶ、おしまい。

明後日から、暫く有給貰って、帰ってきたら、もう、私は友達でもいられない。
あの子が、私が傍にいることを許すはずないよ。

櫻井さんに可愛がられてずるい。
松本さんに庇護されててずるい。
たくさん、陰口言われてるの、知ってた。

友だちなんかいなくても、パートの二人と、皆がいればいいって思ってた。

違ったんだ。私。
皆がいても、雅紀くんひとりがいないほうが、耐えられない。
雅紀くん一人いれば、他は何にもいらなかったんだ。

『Aちゃんの想いが、ちゃんと好きな人に届きますように』

雅紀くんの声が、まだ耳に残ってる。
永遠に、残ってる。

忘れられない。