忘れられない２ (ページ12)

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「店長、有給使わせてください」
「そうだな、店長になったら暫く休みなしだし」
「あ、それと葵さんの赤ちゃん、女の子でしたー」
「そっかー。いいなあ。会いたいな」
あれ？店長、赤ちゃん好き？

「なんだよ」
「いいえ。あと、ここに新しく配属される子、イケメンの清水くんなんですよね？チーフですか？」
「ああ、俺よりイケメンじゃないけど、まあまあイケメンの清水。お前の変わりにしちゃあ、かなり頼れるんじゃない？イケメンだしよ！」
「なんか怒ってません？」
「なんでおこるんだよ？」
「取り合えず、今暇なうちに夕方の休憩いいですか？」
「はいどうぞ」

10分くらいしかないから、休憩室に座る。
パートさんも帰ってて、いつもは噂話に花が咲いててうるさいけど、もう社員しかいないから、しずか。

今後のスケジュール考えていたら、ゆーちゃんとその仲間たちの、声が聞こえてきた。
ハッキリ言って、付き合う友人の種類が違う。
話が合わないから、気配を消すことにする。

「今年のバレンタインも、櫻井さんに本命なの？」
「今年はね、実は違うの」

……ん？思わず、聞き耳。
誰かにあげるんだ。へえ。

「えーだれだれ？」
「私、好きな人ができて」

……ああ、またできたんだ。どこのスーツ男子だろう。

「本気なの？」
「うん」

櫻井さんのことも本気って言ってたけど。
最近は雅紀くんのこと気になってるってパートさん言ってたけど、違ったのかな、
パートさんのネットワークは信憑性が……

「だれ？」
「相葉さん」

……え？
相葉さんって、言った？

「えー。じゃあ、もう全然余裕じゃん」
「そうかなー。もしＯＫなら彼氏と別れようかなって」
「ああ、あのバイヤーさんと別れるの？」
「だって、櫻井さんとか相葉さんには全然敵わないよ、イケメン度が」
「松本さんは？」
「松本さんは、Aに怒られるからとか言って話きいてくれないのー」

…………何を言ってるの、あの人は！
私のせいにするなんて酷いよ。

っていうか、ねえ、相葉さんって言った？
相葉さんって、言った……

よかったね、よかったよ。

よかった。
おめでとう。
自分から言わなくても告白されるよ、チョコもらってね。

つきあってくださいって。
よかったね。

雅紀くんは、ありがとう、うれしいよっていうだけ。

よかった。

ちょっと泣けるのは、嬉しいからなの、きっと。
会わなくなったら、忘れられる。うん。