35.問題の核心 ページ35
「これさ翔さんの触ったら絶対ばれるでしょ、じゃあここはこっそりお金を減らして」
「おいらのこの辺まで進めてもばれねえかな」
二人がこそこそ何かしてる。
「相葉さんのコマこの辺でいっか」
松本さんまでちょっと戻してる。
「わたしもここまで動かそう。お金は３人で山わけ」
ずるい。ずるすぎる。
「……」
「A、言ったらどうなるかわかってんでしょーね」
「……あの、今晩ここで泊まらせていただけるんですか」
そこで初めて３人が我に返ったみたいになる。
「Aの泊まる部屋はこっち。家政婦さん用の部屋あるの」
二宮さんがよいしょって立ち上がってキッチンの方に向かう。
キッチンの中にあった、なんの扉だろうかと思った扉をガチャリと開けたら中に部屋があった。
「……」
「ここで泊まって。鍵はこれ。はいどうぞ」
入ってすぐの扉の横にぶら下がってる鍵を手渡される。
「ありがとうございます」
「掃除しといたら？これさっきの着替えとか。ここに置くぞ」
松本さんが荷物をどさっと置く。
「でも着替えとか、これ２日分くらいの量？」
大野さんが中をチラッと見て言う。
「そうですね……」
「服とかも、取り返しにいかなきゃなんねーな。誰が彼氏役で行く？」
松本さんが私を見下ろして聞く。
「……あの、人生ゲームは……」
「は？ゲーム？」
松本さんが変な顔で聞き返す。
「あ！そっか！それ決める戦いだった！」
二宮さんまで今思い出したみたいに言う。
大野さんはフフフと笑ってる。
なんのために戦ってるか忘れてるんだろうなと思ったら、やっぱり。
「……あのさ、ちょっと聞きたいんだけど」
松本さんが真面目な顔をして聞く。
「はい？」
「……浮気されるのってさ、ちょっとはされた方にも原因があると思うんだけど」
「……」
「心あたりあったりする？」
なんて酷い質問をするんだ、単刀直入に。
しかも。問題の核心をついてきてる。
「……ある」
「何？」
二宮さんと大野さんがニヤニヤしながら聞く。
松本さんは、笑わない。
「……問題は、私が、そいつのことそんな好きじゃなかったってことです」
「……」
「すっごいスキスキって言われて付き合って、気付いたら結婚まで話が進みました」
「なるほど」
大野さんが頷く。
「通りで悲しい気持ちが伝わってこないわけだ」
二宮さんが大げさに、はあってため息をついた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2013年11月10日 21時
