25.訴訟？ ページ25
「じゃあ、かりに、まきびしは」
大野さんが無表情で聞く。
「まきびしってなんですか？」
「あれでしょ？忍者が地面に撒いて、踏んづけてイッテーってなるやつー」
ああ、とげとげのやつ！
二宮さんがうーん、と唸りながら答える。
「ダメージは２、スマートさは４、切れ味は、３、インパクトは３だな。お手軽さは２？どうよ？」
「お手軽さが意外に低いですねー」
わたしがチャートを覗き込んでいうと、二宮さんが言う。
「Aまきびしの本物みたことあんの？」
「……ない」
「そういうこと」
「……」
「じゃあ、俺、考えたんだけど」
櫻井さんが言う。
「やっぱりさ、社会的抹殺が一番効果的なんだよね、痴漢の冤罪とか。でもAは仮にも愛した男が痴漢の汚名をかぶせられるということについてどう思う？」
「あいつがどうなろうとどうでもい」
「でも後味は悪いよね、不幸な相手の姿を見ることが復讐なんて、考え方として醜い」
「うん……」
なんだかとっても真面目に考えてくれてる。
この人ふざけてると思ってたけどわりといい人なのかもしれない。
「一歩間違えたら犯罪なのは禁止ね？たとえば反社会的集団と関わりがあると会社に怪文書送るとか、無言電話とかは、やめよう」
櫻井さんが言葉を選ぶように言う。
「言っとくけど、社会的抹殺で、もっと簡単な方法あるんだよ？A、訴訟おこして慰謝料がっぼり貰う復讐はどうなの？結構貰えると思うよ、しかも両方からね？知り合いの弁護士に頼もうか？」
なんだろう、とっても頼もしく見えてきた。
「Aは少しの非もないからね、まぁ、そっちの復讐方法は冷静になってから話し合うとして、今考えてるのは、腹の虫をどうにかして抑えるための復讐と捉えていいんだよね？」
「うん。車に10円玉でバカって傷つけるとかー？」
相葉さんが笑いながら言う。
二宮さんが声をだす。
「復讐方法、訴訟。ダメージは５、スマートさも５、切れ味も５、インパクトは３、予想の範囲内だから。お手軽さは１ってとこ？お金かかるし時間もかかる。早く死にたいのに間に合うか怪しいし」
「うーん」
「次、愛車に傷。ダメージは３？スマートさはひでーな、１？切れ味は２？インパクトは５かも。お手軽さも５」
「もっと生きる気力なくすようなダメージあたえなきゃ」
大野さんがふにゃーと笑いながら恐ろしいことを言っている。
「ニノ、なんかあるの？」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2013年11月10日 21時
