22.調味料 ページ22
えっ！また勝負？
ちょっと待てよ、とか皆一斉に目線を上に向けて考え出す。
「あの、すき焼きは」
思いきって声をかける。
「ちょっと用意しといて」
松本さんがスマホで何かを検索しながら言う。
私も食べるから６人でひとつの鍋だよね？
狭そう。
とりあえず、キッチンに入ってみる。
まぁまぁ綺麗にしてる。
ちょっと気になったのは、
イタリアンに使う材料が凝りすぎてること。
よくわからない調味料がずらっと並んでる。
ブラックペッパーはまぁいいとして、
ホワイトペッパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーが並んでる。
前の家政婦さん、こんなのを使ってたの？
わたし、とんでもない食通の人のご飯つくらないといけないのかも。
家庭料理は、まぁある程度つくれるけど。
花嫁修行で料理の勉強をして、お前のご飯おいしいよって言ってくれて……ああ、やだ。また生きてるのが嫌に。
白菜と春菊と白ネギとえのきを切って、
椎茸のいしづきを落として傘に切り込みをいれたり人参を桜の形に切ったりしてたら、松本さんが入ってくる。
「鍋あっちに持っていく」
「お願いします」
「あれ？元気ない？」
「このペッパーとハーブ使いこなせる自信ないです……」
「ああ、ブラックペッパーは香りが強いから、肉料理とか味が濃いものに使うんだ。ホワイトはまぁ色がつかねーからクリーム系とか魚料理とか、素材の味を壊さないもんに。ピンクとグリーンは言わば彩りみてーなもん。味も違うからまた使ってみたら」
「……このハーブは……」
「オレガノはトマトとかチーズに合うからトマトソース作るとき。ローズマリーは肉や魚の臭みをとったりする。グリルによく使ってる。セージも一緒。ローリエは知ってるだろ？タイムはミネストローネとかに……なにその顔」
わたしが切った材料を大皿に並べていく。
「……凄くない？」
「ふつーだろ」
「和食とかも作れるの？」
「……作れないことはないけど？豚汁とか？」
「この中華鍋は……」
「あ、これは相葉さん」
ということは。
「中華とイタリアン以外の和食を作ればいいんですね？」
「うん。旨いけどもう流石に飽きたって言われたから、急募した」
なるほど！急募の意味がわかってスッとした！
「魚、イタリアン、中華、魚、イタリアン、中華の繰り返し。あとカレーと」
「じゃ、おでんとかてんぷらとか……」
「おでん！てんぷら！」
松本さんの目がきらーんと光った。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2013年11月10日 21時
