３.ニヤニヤ ページ3
「死ぬ前にその貼り紙の横の家のチャイム鳴らしてよ！」
ふと、目を上げたら、ペンション並の大きなおうちと、大きなお庭の豪邸。
「……」
「電話切らずにそのまま鳴らして！」
「山風さんのおうちではなさそうですけどいいんですか？」
「山風は仮名！ほら鳴らして！」
ピンポーン。
とりあえず、鳴らしてみる。
ああ、カメラついてるんだ。
「もしもし？」
「あ、はい、鳴らしましたけど」
「はい、採用！中入って！」
そう聞こえて、扉がゴゴゴゴゴ、と開く。
自動ドアなんだ。
中に入ったら、ゴゴゴゴゴ、と閉まる。
「そのまままっすぐ進んでー」
「はい」
「ところで君さ、嵐の中で誰が好き？」
なんだ、この質問。
とりあえず、答える。
「まあ、皆素敵なんじゃないですか？とりあえず男は信用ならんとわかったので、女好きに宗旨がえするかもしれません！」
「ますますいい！もう最高！」
むこうで大喜びしてる声。
長い石畳をあるいて玄関のチャイムを鳴らす。
さあ、どうなるんだろ、私。
どう、殺されるのかな。
よし、覚悟を決めた。
……ピー
携帯の、充電が切れた。
もう、引き返せない。
ピンポーン。
家のチャイムを鳴らす。
しばらくしたら、ガチャっと、扉が開いた。
「ようこそ、俺らの家へ！」
そう言って扉をの向こうから出てきた人は。
「……え？」
嵐の、二宮さんと、松本さんと、大野さん、だった。
わくわくわくわくわく。
３人の顔が好奇心で満ち溢れている。
「……始めまして。入籍してしまったせいで離婚届を叩きつけて出てきたので、今の名字はどうなってんのか不明ですが、Aと申します」
おおおお！
３人が嬉しそうに笑う。
「さすが！明日地球が滅亡しても驚かないって言うだけのことはある！」
二宮さんが、ニヤニヤ笑ってる。
さては、さっきの電話の相手は、この人だ。
「……家政婦募集の貼り紙を見ました」
「さっき聞いたよ！」
松本さんも、ニヤニヤ笑ってる。
「はいんなよ」
大野さんも笑ってる。
みんな、ニヤニヤニヤニヤ。
「不幸な女の顔がそんな珍しい？」
３人を睨み付けて言ったら、きゃはは！って笑われる。
「俺らのこと知ってる？」
「知らない人なんていませんよ、松本さん」
おおー、とかいちいち言われる。
「仕事内容教えてもらえますか？」
開き直ってそう言ったら、３人が何故か拍手をした。
意味不明。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2013年11月10日 21時
