16.じゃんけん ページ16
二宮さんが、手をパンパン、と鳴らして言う。
「はい。じゃあ、Aの下着とかの買い物とお肉を買いに行く係決めるよ！」
「あ、俺行くわ」
松本さんがふっと立ち上がって私を見下ろす。
つられて立ち上がったら、慌てて相葉さんが立ち上がる。
「え、じゃあ俺も行く！」
「じゃあ俺も！」
「みんないくなら、わたしもいく」
「えっ」
相葉さん、櫻井さん、二宮さん、大野さんも、慌てて順に立ち上がる。
「……俺が行くって」
と松本さん。
「いいや、俺が」
櫻井さんが松本さんを半笑いで睨む。
「何いってんの！お買い物は俺と行こうよ。ね、Aちゃん」
相葉さんが私の肩を抱こうとしてちょっと逃げる。
「えと、おいらが行く？」
大野さんが困ったみたいに、言う。
「じゃあ、ここはわたしが！」
「ニノは家でゲームでもしとけって」
相葉さんが言う。
「なんで！ここはどうぞどうぞ！ってなるとこでしょ！」
「いや、これは、Aに気に入られるチャンスだろ！始めが肝心！後半有利に進めるにはここをぜひとも押さえときたい」
櫻井さんが歯をくいしばって周りを見渡す。
「え？ちょっと待って？翔ちゃん、Aちゃん気に入っちゃってんの？」
相葉さんが櫻井さんに聞いてる。
「当たり前だろ！初めて会った瞬間、頭の中に流れたエブリシン、まだ消えて無いぞ！」
「うっそ……俺なんてラブソー流れたのに」
相葉さんがぶつぶつ呟く。
「採用したのは俺だかんね！」
二宮さんがよく通る声で叫ぶ！
「だから、これ、俺の！」
そう言って私を、ばん！と指差す。ちょっと体をずらして松本さんの後ろに隠れる。
「いや待て！俺らも一緒に決めただろーが！ふざけんな！じゃあ俺はワンラブー！」
「え？曲？じゃ、おいら、えっと、ＰＡＲＡＤＯＸで、いいや」
大野さんがそういうと、皆が一瞬口ごもる。
「……それは……」
「えっと……」
「……ＰＡＲＡＤＯＸってどんな曲ですか？」
皆が複雑な目で私を見下ろす。
「いや、一日でも長く生きながらえてもらいたいので、……今のは忘れようか」
櫻井さんが、目が笑ってない、張り付いた笑顔を見せる。なにそれ。
「じゃんけんで決めたら！」
二宮さんが言う。
「そうだね、そうしよっか」
相葉さんも同意するけど。
「俺勝ちたいときに負けるんだよ、……負けたやつが行くことにしない？」
櫻井さんが、必死。
お買い物行くだけなのに。なんなの？
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2013年11月10日 21時
