14.執事 ページ14
「第二執事の櫻井と申します。初めまして。」
櫻井さんがいいい？とか言ってる。
「……はい。Aさんは頭の回転も早く、よく働いてくれるものですから、是非うちで、と思いまして。ええ。明るくて、ひょうきんなお嬢さんで」
第二執事って言った？って二宮さんが呟く。
「そうですね、はい。……ああ、そうなんですか。それはそれは……では、お嬢様の家庭教師なんかもお願いしてもいいかもしれませんね。……お嬢様？ええ。いらっしゃいますよ？代わりましょうか？」
松本さんが鋭い目で大野さんを見下ろす。
「智子お嬢様、Aさんのお母様ですよ」
「…………」
櫻井さんがひいいいって息を吸い込む。
相葉さんが、え？え？なにごと？え？とかいってる。
「あ、もしもし？え？うん。そう。お友だちになったの」
大野さんが信じられないくらい高い声で話しだす。
櫻井さんと松本さんが両手で口を押さえて、ぐふうとか言ってる。
「え？うん。おえかきしたりするの」
そこに二宮さんが慌てて電話を取り上げる。
「あっ！」
まだ智子ちゃんになりきってる。
「えー。もしもし？執事頭の影山です。どうも」
全員がひっくり返ってひいひい言ってる。
「智子お嬢様、まだお風邪良くなってないんですからね、ちゃんとおねんねしてくださいよ……ええ。そうなんです。ちょっと、風邪で。喉をね、痛めてまして」
流暢に話す、影山さんカッコ仮名。
「お嬢様は早くにお母様、ええ、つまり奥様を亡くされて寂しがっていたものですから。ここだけの話、旦那様、かなりAさんをお気に召したようでいらっしゃいますしね｣
旦那様って誰だよ？さあ、綾小路さんじゃね？って櫻井さんと松本さんが言う。
「７人ほどいる使用人もみんなAさんのこと気に入りましてね、ええ。まあ。見た目もね、かわいらしいですし。あ、お母さん似？へえ。お母さんも可愛いの？」
なんの話してるんだ、影山さん、カッコ仮名。
「まあまあね、うん。それで、Aさんをここで雇いたいので、ご家族の許可だけ頂こうと。……ああ、そうなんですか？一生？参ったな。はい喜んで！」
一生？喜んで？何？
「……はいわかりました。またご連絡いたしますので。……えーっと、うちの馬なんかを世話してる動物係もいますけど、代わらなくていいですよね？ああ、そうですよね。はいはいどうも。では、失礼します」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2013年11月10日 21時
