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「僕、お手伝いしましょうか？お化粧直しの時間くらいなら店番できると思いますけど」
店員さんが鏡で自分の顔を確認して、涙で滲んだアイラインとマスカラなのかな、黒い粉のようなものがついた目尻を慌てて拭う。
「ちょっとだけいい？化粧すぐ直してくるわね」
そう言って立ち去って、店内は俺一人とお客さんだけになった。
カバンをレジの近くに置いて、店に入ってくる客にいらっしゃいませーとか言ってたら、さっき店長さんが泣いてる姿を見た客が興味津々、といった感じで近づいてきた。
「なにかあった？」
「いや、すみません。身近な人の訃報が入って……何かお伺いしましょうか？」
「もしかして錫来さんのこと？」
「……ああ、いつもご利用くださってるんですね、ありがとうございます」
「君はバイト？」
「今日だけのお手伝いなんですよね」
「それは残念、今後君からいっぱい買おうかと思ったのに」
「ふふ、じゃあ今日買って行かれます？」
ちょっと微笑んだらお客さんが嬉しそうにして店内を見回す。しばらくして手に紺色とライトグレーのアンサンブルを手にして「こっちとこっち、どっちが似合うと思う？」と聞かれた。
普段のボトムスは何色が多いか、とか、表情は紺色だとハッキリした印象でグレーは優しい印象になる、とか答えたり、アンサンブルに合うスカートとか靴を一緒に見ていたら、やっと店員さんが戻ってきて、お客さんに声をかけた。
「あらこんにちは、岩野さん」
「イケメンバイトくんに色々おすすめされちゃったわー、これ全部頂戴ー」
お会計して商品を渡してお見送りをして、ふぅ、と息を吐いたら店員さんが笑いながら俺を腕をトン、と叩いた。
「ありがとうね、岩野さんがあんなに沢山お買い物してくれたの見たの初めてよ」
「売上貢献できてよかったです」
「あなたイケメンだし接客業向いてるかも。将来の夢は？もう決まってるの？」
将来の夢か。
この力が役に立つ仕事、邪魔にならない仕事ってなんだろう。
警察に、錫来の霊が見えるので彼女を探してください、と言っても絶対に信じてはくれないだろう、ってことは簡単に想像できた。
だからといって例えば霊能力者になって行方不明者を探す、みたいなこともできない。
行方不明者がもう死んでるなと知ったところでお前が犯人なんじゃ？と疑われるだけだろう。
警察は頼りにならないけど、俺と同じような人間の力になれるかもしれない。
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かき - このシリーズ大好きで何度も読み返してます！更新応援しています！ (10月28日 21時) (
レス) id: 1a835ab69b (このIDを非表示/違反報告)
みい(プロフ) - 一気読みしてしまいました！よしのさんの小説は本当に読みやすくて感情移入しやすいです！更新楽しみにしています！ (2023年3月4日 18時) (レス) @page37 id: 35d5ff39db (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 遅くなりましたが読みにきました♪あ〜面白い〜よしのさんの描写が分かりやすくて頭の中で勝手にドラマ化されています＼_(･ω･`)ｺﾚ大事！続きをのんびり待ってます٩( 'ω' )و (2023年2月26日 13時) (レス) @page37 id: b010e36986 (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 翔さん＆よしのさんおめでとうございます！この佳き日に二作同時に読めるなんてこちらこそプレゼントありがとうございます！翔さんとヒロインちゃんがどんなこと話してたのか知りたい！雅紀君にはどんな色が見えたのかな？桃色桜色？パチパチ弾けたソーダ水な？キュン (2023年1月25日 15時) (レス) @page37 id: 8b85446469 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 櫻井さんとヒロインの色恋もみたいかもーなんちゃって笑笑よろしくお願いします❕ (2023年1月22日 7時) (レス) @page32 id: 616dc38d65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年8月31日 7時
