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半ば強引に大野さんがついてきた。
途中でお魚屋さんに寄って新鮮な魚を吟味して買ってる。
途中で八百屋さんにも寄った。
ちょっと嬉しそうにペカッとした笑顔で私の家までついてきて冷や汗が止まらない。
「そんなたくさん何を作るんです……？」
「ぶり大根とか」
「きのこの炊き込みご飯作ります？」
「いいねぇ」
「熱燗とかビールでね？」
「おお、いいねぇ」
「その松茸はどうするんです？」
「鱧と吸い物とかにして……」
「御馳走じゃないですか……！誰か誘います？」
「……」
大野さんが私をちらりと見た。
「？」
「誘いたい？」
「食い扶持が減るからヤです」
「食いしん坊」
あはー！と笑ってて笑顔が可愛くてしんどい。
あれ？これ死ぬ前に見る夢かな？
そんなこんなで、大野さんが家まで来た。
来た理由は、家庭料理を作りたいとかいう謎の理由。
まあ確かに秋の味覚の家庭料理を作りたくて家を借りる人間なんて居やしない。
丸山さんちとか借りればいいのに、と思ったけど、借りれない何かあるのかもしれない。実家住まいとか。彼女が家にいるとか。調理器具の問題とか。
「よーし作るぞー」
「お願いしまーす」
「手伝え」
「はーい。あ、洗濯とかあります？」
「……パンツとか靴下洗ってくれんの？」
「いいですよ？」
「……」
大野さんがちょっと考える顔をした。
腕を組んで顎をつまんでる。
「ん？」
「A、明日は？仕事？」
「今日土曜ですよ？明日も休み」
「曜日感覚なかった」
「さすが無職！」
「明日はカレーにする？」
「明日はカレー？」
「嫌？」
「嫌じゃないですけど」
ちょ、ちょっと。
明日も来るの？なんで？
喜んでいいのか全くわかんない。
いいように利用されてるだけのような気がしてきた。
「A」
急に本気トーンの声でちょっとビクッとした。
「ハイ」
「ちょっと出てくるから、炊き込みご飯だけ用意しといて」
「大根下茹でまでやっときましょうか」
「宜しく」
大野さんはそう言い残して私の家から出ていった。
このまま消えたり……しないか！
さすがにこの魚と松茸を残して消えるなんてことはないだろう、さすがに。
ちょっと不安に駆られながらも、炊き込みご飯の準備をして、フライパンで大根の下処理して湯がいて、スッと竹串が通るまで終えた頃、大野さんが戻ってきた。
ピンポーン。
「はーい、今開けます」
もしかしてパンツと靴下持ってきたのかしら。
そう思いながら玄関を開けた。
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ああ(プロフ) - 面白かった…!明日早いのに最後まで読んでしまいました。ありがとうございます (2022年6月27日 2時) (
レス) @page49 id: 332a1fd98b (このIDを非表示/違反報告)
あきら(プロフ) - たまらなく幸せな気持ちになれました…よしの先生の書かれる大野さん大好きで何度も読み返してます。素敵なクリスマスのおそそわけありがとうございます。 (2021年12月25日 21時) (レス) id: 65b0e8ea2e (このIDを非表示/違反報告)
羊羽。（よう）(プロフ) - メリクリ〜☺クッソ面白かったよー。完結乙でした！ (2021年12月25日 17時) (レス) @page49 id: 07dccdc548 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - よしのさん、メリークリスマス🎄そして完結お疲れ様でした。不器用で大きな優しさの大野さんにキュンでした〜( ´艸｀)ありがとうございました！新作もおにぎりも楽しみに待っています。ご無理なさらずよしのさんのペースで！ (2021年12月24日 11時) (レス) @page49 id: 7572200b1c (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 大野君が課長たちに啖呵切ってくれたところ、カッコよかったですね。それと、おにぎりが恋しいです。 (2021年12月18日 5時) (レス) @page44 id: 3ab06130a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月29日 16時
