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「じゃあ私がもし竹橋さんに冷たくされてたら……」
「……」
「私がもしターゲットにされてたとしたら、大野さんに守ってもらえたかもしれなかった？」
「もしもの未来なんてありません」
とうとうムカついて強めの声でそう言ってやった。
「……」
「そうならなかったんだから、もしかしての未来と比べても仕方ない、ここからの未来の方をなんとかすべきです……って大野さん言ってました」
「大野さんが？」
「そうです。それと『ほんとにその人と縁があるならどうやってもくっつくと思うから、他人の不幸を望まないで、自分が幸せになることだけ祈っときなさい』って言ってた」
「……」
「ミドリさんも幸せになってください」
ミドリさんが泣き始めた。
カバンからタオルを取り出したときに、まぁまぁ大きめのカッターナイフが落ちて、ぎょっとした。
一瞬迷って、拾ってミドリさんに手渡す。
ミドリさんがカッターナイフを握りしめる。
涙がポタポタ落ちてる。
「私……竹橋さんがAさんが皆に嫌われるように誘導してたの知ってた、大人気ないとは思ってたけど、自分がターゲットになりたくなくて一緒になって無視してた」
「……」
「……同じように避けてたの後悔してる、逆に仲良くなるべきだった」
「……」
「ごめんなさい、大野さんにも……二度と姿を見せません、さようなら、とお伝えください」
ミドリさんががっくり肩を落として背を向けた。
その言い方に少し寒気がした。
そこに、大野さんがフッ、と現れた。
慌ててミドリさんの背中を追いかけて、振り向かせる。
ミドリさんがハッとしたように背後の大野さんに気づいた。
「私経由でなく、自分で伝えてください」
ミドリさんがまた泣いた。
よく泣く人だなと思ったけど、それだけ真剣だったんだろうと思えば少し胸が痛む。
「なに？」
大野さんがミドリさんをまっすぐ見つめた。
「自分が幸せになれるようにって祈ればいつか私も幸せになれますか？」
「うん。ミドリを泣かせる男より、ミドリのことを大切にしてくれる人はいつか現れると思うし、そいつのこと好きになれば幸せになれる、と思うよ」
「……」
「……幸せになんなさい」
ミドリさんがうわーんって泣いた。
ミドリさんが握ったままのカッターナイフをするりと奪い取る。
「これ預かっときます」
本気で死にたいと望んだらいくらでも方法はあるけど、目の前にある選択肢の一つは奪える。
ミドリさんが、ありがとって呟いた。
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ああ(プロフ) - 面白かった…!明日早いのに最後まで読んでしまいました。ありがとうございます (2022年6月27日 2時) (
レス) @page49 id: 332a1fd98b (このIDを非表示/違反報告)
あきら(プロフ) - たまらなく幸せな気持ちになれました…よしの先生の書かれる大野さん大好きで何度も読み返してます。素敵なクリスマスのおそそわけありがとうございます。 (2021年12月25日 21時) (レス) id: 65b0e8ea2e (このIDを非表示/違反報告)
羊羽。（よう）(プロフ) - メリクリ〜☺クッソ面白かったよー。完結乙でした！ (2021年12月25日 17時) (レス) @page49 id: 07dccdc548 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - よしのさん、メリークリスマス🎄そして完結お疲れ様でした。不器用で大きな優しさの大野さんにキュンでした〜( ´艸｀)ありがとうございました！新作もおにぎりも楽しみに待っています。ご無理なさらずよしのさんのペースで！ (2021年12月24日 11時) (レス) @page49 id: 7572200b1c (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 大野君が課長たちに啖呵切ってくれたところ、カッコよかったですね。それと、おにぎりが恋しいです。 (2021年12月18日 5時) (レス) @page44 id: 3ab06130a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月29日 16時
