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「私から先に少し質問いいですか？」
「いいよ」
「大野さん、どこ行ってたんですか……」
「ん？いつ？」
「仕事辞めてすぐです！」
「釣り行ってた」
「釣り？」
「船乗っていろいろ。あ、マレーシアも行ったかな、セイルフィッシュ釣りに行った、画像見る？」
大野さんがスマホを出した。
スマホ！！連絡取れなくなったのにスマホ持ってる！当たり前だけど！
「大野さん、携帯繋がらなくなって……ラインも……」
「あー、ごめん、スマホ海に落としちゃって。面倒だから新しく契約しなおしてー」
「……」
「前の職場の奴らも、まぁマルくらいしか連絡取ってなかったし」
「丸山さん……？」
「うん。人事の」
「盲点だった……！」
私がガクッと項垂れると大野さんが不思議そうにした。
「盲点？」
「丸山さん、本社に異動したんですよ……！」
「あー、そうだった。ほらほら見て、すごいでしょセイルフィッシュ」
「うわ、すご！背ビレすご！見た目悪魔みたい！」
しばし画像を見て、セイルフィッシュ釣りがいかに楽しくエキサイティングだったかという話題になる。
一生懸命聞いてたらパフェとケーキが来た。
食べることに専念する。
ケーキを半分たべたとこで、恨み節のじかん。
「私大野さんにちゃんとお別れ言えなかった」
「ごめんごめん。送別会とか言ってくれてたんだけど、ちょうど身内に不幸とかもあって……バタバタバターっと辞めたからね」
「宝くじ当たったから？」
「うん、夢だったからね、マグロ釣り」
「で、仕事をやめて夢にまっしぐら……？」
「うん」
泣きそう。
当たり前だけど、私達が過ごした地獄のような日々も楽しかった思い出もすべて3日で捨てられるほどの関係性だったということが。
「もう二度と会えないかもしれないので今言いますけど」
「うん」
「私大野さんのこと大好きだったんですよ」
「えっ？」
大野さんが順調に食べすすめていたパフェを掬う手をピタリと止めた。
「私大野さんのこと大好きだったんですよ」
「なんで二回……」
「聞き返されたから」
「あはは、相変わらずだーAー」
「……相変わらず……？」
「Aってなんか可笑しいよね、見た目は俺好みで可愛いのに中身がへんてこ」
見た目は俺好みで可愛い、だって？
うそん。そんなの初耳。
「大野さん今彼女は……」
「彼女はいないけど」
「彼女はいないけど妻がいるとか言われそうだな」
「妻もいないけど」
「……けど？」
「家もない」
は？
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ああ(プロフ) - 面白かった…!明日早いのに最後まで読んでしまいました。ありがとうございます (2022年6月27日 2時) (
レス) @page49 id: 332a1fd98b (このIDを非表示/違反報告)
あきら(プロフ) - たまらなく幸せな気持ちになれました…よしの先生の書かれる大野さん大好きで何度も読み返してます。素敵なクリスマスのおそそわけありがとうございます。 (2021年12月25日 21時) (レス) id: 65b0e8ea2e (このIDを非表示/違反報告)
羊羽。（よう）(プロフ) - メリクリ〜☺クッソ面白かったよー。完結乙でした！ (2021年12月25日 17時) (レス) @page49 id: 07dccdc548 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - よしのさん、メリークリスマス🎄そして完結お疲れ様でした。不器用で大きな優しさの大野さんにキュンでした〜( ´艸｀)ありがとうございました！新作もおにぎりも楽しみに待っています。ご無理なさらずよしのさんのペースで！ (2021年12月24日 11時) (レス) @page49 id: 7572200b1c (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 大野君が課長たちに啖呵切ってくれたところ、カッコよかったですね。それと、おにぎりが恋しいです。 (2021年12月18日 5時) (レス) @page44 id: 3ab06130a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月29日 16時
