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散々泣いて、目を上げた。
周りの人がドン引きしてるのに、大野さんはふわふわ笑って私を見下ろしたまま、同じ位置から動いていない。
さすがだ。
昔会社でいきなり窓からツバメが入ってきて部署内がパニックになったときも、あーツバメだねぇってニコニコしてたの思い出した。
「大野さん、今ひとりですか？」
「見りゃわかるでしょ」
「今何してました？」
「海見てた」
「あの、今から何か用事は？」
「なーーーーんもない」
「今からお茶行きましょう、美味しい甘いもの奢ります！おすすめのカフェがある！」
大野さんがマシンガンのようにまくし立てる私をぼーっと見てから、あはは、と笑った。
「いいよ」
「よかった！」
「なに？俺になんか用あった？」
大野さんが、うーん、って感じで伸びをして、だらーんと腕を垂らした。
ふわふわした髪。ちょっと猫背。
なんにも変わってなくてやっぱり泣く。
「ホンモノだーーー」
「こっちのセリフ。ほんとにA？」
「Aですよお」
「こんな泣き虫だったっけ」
「こんな泣き虫にしたのは大野さんです！」
「俺のせい？なんで」
「それは後でちゃんと説明します」
大野さんがアハハと笑いながら歩き出す。
「ところでこれ、さっき追いかけてたの何」
「コレは、願いが叶う本で……」
！！！！！！
すげえええ。
この本、願い叶ったよ！嘘でしょ！
「ん？」
「な、なんでもないです！」
カバンに本を押し込んで大野さんにぴったりくっつく。
「ほんとにA？こんな感じだったっけ？」
「もう逃しません」
「あはは」
大野さんの腕をガッシ！と掴んだまま、お目当てのカフェに辿り着く。
「そこ座ってください」
「はい」
大野さんが周りをキョロキョロ見渡して、私の顔を見た。
「何食べます？」
「パフェ食おっかな」
「おお！いいですね！」
「チョコバナナ&チーズケーキパフェにしよ」
「それ大きいですよ」
「いいよ」
「じゃあ私はミルクティとミルクレープのセットで」
「レープって何、あ、ミルクレープか、ミルクかと思った」
大野さんがメニューを見ながら楽しそうにしてる。
注文してる姿見ても泣きそう。
黒いTシャツにデニムジャケット、グレーっぽいチノパン。
仕事してるときはスーツだったからなんだか新鮮だ。
でもきれいな手も大野さんの周りだけ時間がゆっくり流れる感じも優しい声もそのままで泣きたい。
「て、用って何？」
大野さんが私をじっと見た。
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ああ(プロフ) - 面白かった…!明日早いのに最後まで読んでしまいました。ありがとうございます (2022年6月27日 2時) (
レス) @page49 id: 332a1fd98b (このIDを非表示/違反報告)
あきら(プロフ) - たまらなく幸せな気持ちになれました…よしの先生の書かれる大野さん大好きで何度も読み返してます。素敵なクリスマスのおそそわけありがとうございます。 (2021年12月25日 21時) (レス) id: 65b0e8ea2e (このIDを非表示/違反報告)
羊羽。（よう）(プロフ) - メリクリ〜☺クッソ面白かったよー。完結乙でした！ (2021年12月25日 17時) (レス) @page49 id: 07dccdc548 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - よしのさん、メリークリスマス🎄そして完結お疲れ様でした。不器用で大きな優しさの大野さんにキュンでした〜( ´艸｀)ありがとうございました！新作もおにぎりも楽しみに待っています。ご無理なさらずよしのさんのペースで！ (2021年12月24日 11時) (レス) @page49 id: 7572200b1c (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 大野君が課長たちに啖呵切ってくれたところ、カッコよかったですね。それと、おにぎりが恋しいです。 (2021年12月18日 5時) (レス) @page44 id: 3ab06130a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月29日 16時
