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「ありがとうございます、とりあえず保冷剤で冷やします」
「ん」
大野さんがびしょびしょになった自分の袖口を絞る。
「ご迷惑おかけしてすみません、濡れちゃいましたね……」
「着替える、部屋着になっていい？」
「ほんとに泊まるんだ」
「嫌？」
「嫌っていうかそのあの」
あたふたしながら、冷凍庫に夏の間に凍らせていた保冷剤を出して、患部に当てて、ハンカチでぐるぐる巻きにした。
火傷したとこは全然冷たく感じないけど、その周りの皮膚が冷たい！何だこの感覚！
「あ、さむい！」
「床暖房つけて、ひざかけとか、暖かいかっこしなさい」
「はい」
言われたとおりにしてじっと座る。
「あとはやるから座ってなさい」
先輩が先輩になった。
時々こうやって頼りになって、それがめちゃくちゃかっこよくて惚れたんだった。
「私馬鹿ですね」
「知ってるよ」
「私大野さんに会いたかったんです」
「それもう聞いたよ」
「願いが叶う、って言われたものには全部願掛けしてました。願いが叶うかも？とかいうハート型のお菓子にまで願ってきた」
「ふふ」
大野さんがカバンからスウェット出してきて、着替えはじめたから慌てて目をそらす。
「なのに今日から一緒に住むとか、今までのお願い今日全部叶ったんですかね？その反動で大野さんと会いすぎる状態になったんですかね？」
「なーにいってんの」
「またいきなり消えるんですか？」
「……」
「明日の朝目が覚めたら……大野さんのパンツと靴下だけ残して本人消えてたり」
「消えるときは……パンツと靴下持ってくよ」
「じゃあ毎朝……部屋干しのパンツの有無を確認してから起きることにする」
「そうして」
大野さんが着替え終えて座ってる私の頭をポンポン、と撫でた。
「そんな会いたかったの？」
「うん」
会いたかった、と思ったらまた急に泣けてきた。
ずきんずきん、と痛む手。
キッチンからいいにおい。
大野さんの優しい手。
これは現実？
「……そんな、好きだった？」
大野さんが、静かな声でそう聞いた。
顔を覆う。
こくん。
いっこ頷いたら、大野さんがそっかぁ、って言った。
また目からブワワワワ！と涙が出てきて、ひいーん、って声を押し殺して泣いてたら、大野さんがンモーと言いながら、タオルを頭の上に乗せてきた。
「そーゆーことは、早く言いなさい」
「はい」
大野さんが立ち上がって、お鍋の火を止めた気配がした。
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ああ(プロフ) - 面白かった…!明日早いのに最後まで読んでしまいました。ありがとうございます (2022年6月27日 2時) (
レス) @page49 id: 332a1fd98b (このIDを非表示/違反報告)
あきら(プロフ) - たまらなく幸せな気持ちになれました…よしの先生の書かれる大野さん大好きで何度も読み返してます。素敵なクリスマスのおそそわけありがとうございます。 (2021年12月25日 21時) (レス) id: 65b0e8ea2e (このIDを非表示/違反報告)
羊羽。（よう）(プロフ) - メリクリ〜☺クッソ面白かったよー。完結乙でした！ (2021年12月25日 17時) (レス) @page49 id: 07dccdc548 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - よしのさん、メリークリスマス🎄そして完結お疲れ様でした。不器用で大きな優しさの大野さんにキュンでした〜( ´艸｀)ありがとうございました！新作もおにぎりも楽しみに待っています。ご無理なさらずよしのさんのペースで！ (2021年12月24日 11時) (レス) @page49 id: 7572200b1c (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 大野君が課長たちに啖呵切ってくれたところ、カッコよかったですね。それと、おにぎりが恋しいです。 (2021年12月18日 5時) (レス) @page44 id: 3ab06130a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月29日 16時
